昨年までの結果から、golgin-84と相互作用を持つkinesin2サブファミリー(kif3A+kif3C)はこれまで主に解析されてきたkinesin2(kif3A+kif3B)と異なりトランスゴルジ体からライソゾームへの輸送に関係していることが明らかになった。この小胞輸送経路にはgolgin-84とkinesin2サブファミリーの相互作用が必須であった。 一方、golgin-84と他のgolginの相互作用解析の中で、相互作用タンパク質COG複合体がトランスgolginで有るp230と共局在を示す事を見いだした。COG複合体は酵母細胞においてファゴフォアー形成にかかわることが報告されているが、我々は哺乳動物細胞においてもCOG複合体サブユニットCog3ノックダウン(KD)細胞ではオートファゴソーム形成が阻害されることを確認した。この結果を踏まえて共役因子であるgolgin-84や他のgoginのKD細胞におけるオートファゴソーム形成についての解析を行った。その結果ゴルジ体トランス局在golginであるp230がオートファジイ関連タンパク質Atg9のゴルジ体から形質膜を経由してのファゴフォアーへの輸送に必須であることを発見し、共役タンパク質は微小管結合タンパク質MACF1であることを示した。 本研究により明らかにされた、golgin-84とp230の解析結果はゴルジ体トランス領域に於てもgolginタンパク質が小胞やその積み荷の行き先決定に関与していることを強く示している。
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