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2012 年度 実施状況報告書

細胞内膜輸送における低分子量GTPase ARFとRabのクロストーク

研究課題

研究課題/領域番号 23570162
研究機関京都大学

研究代表者

申 惠媛  京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (10345598)

キーワードメンブレントラフィック / エンドソーム / 低分子量GTPase
研究概要

細胞内タンパク質輸送は輸送小胞を介して行われ、小胞の形成・運搬・融合の各過程は特定の分子群により制御されている。低分子量GTPaseのARFは輸送小胞の形成に、Rabは主に輸送小胞のターゲティングや融合を調節する。本研究ではTGN以降の輸送経路における低分子量GTPase間のクロストークの分子機構を明らかにすることを目的とする。
前年度ではARF1とARF3がエンドソームに局在し、エンドソームから細胞膜への輸送に関与することを明らかにした。当該年度では、新たにARF1とARF4がエンドソームを介する輸送経路に関与することを明らかにした。これまでに、5種類のヒトのARFのうち、ARF1、ARF3、ARF4、ARF5は主にゴルジ体で機能することが知られていた。興味深いことに、ARF1とARF4の同時に発現抑制した細胞ではRab4やRab11が存在するエンドソームがtubule化することを見出した。ARF1とARF4の同時の発現抑制細胞では、エンドソームからゴルジ体への輸送が阻害されることが分かった。ARF1とARF3あるいはARF1とARF4の発現抑制細胞においてエンドソームのtubule化が観察されたが、前者の細胞ではエンドソームから細胞膜へのリサイクリング経路が、後者の細胞ではエンドソームからゴルジ体への経路が阻害された。したがって、本研究ではARF1とARF3、ARF1とARF4の異なるペアーがエンドソームを経由する異なる輸送経路を制御していることを示し、ARFの輸送経路の制御における新しい分子メカニズムが示唆した。この異なるARFのペアーは特異的な膜マイクロドメインを形成し、機能すると考えられる。したがって、各ARFのペアーの下流で働く特異的なエフェクタータンパク質を同定することでARFの特異的な輸送経路の制御機構を明らかにできると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

エンドソームに局在する低分子量GTPaseのクロストークのメカニズムを明らかにすることを目的としている。これまでの研究により、ゴルジ体に局在すると知られていたARF1とARF3とARF4がエンドソームで機能することを明らかにした。さらに、ARF1とARF3のペアーとARF1とARF4のペアーがエンドソームから異なる輸送経路を調節していることを明らかにした。異なるARFのペアーが特異的なエフェクタータンパク質を制御することにより異なる輸送経路を制御していると考えられる。ARFペアーの異なる機能の発見は、積荷タンパク質の選別輸送機構を理解するうえで大変ポジティブな進歩である。

今後の研究の推進方策

これまでの研究により、ARF1とARF3、ARF1とARF4がそれぞれエンドソームの形態維持に関与するが、前者はエンドソームから細胞膜への輸送経路に関与するが、後者はエンドソームからゴルジ体への輸送経路に関与することが明らかとなった。この異なるARFのペアーは特異的な膜マイクロドメインを形成し、機能すると考えられる。したがって、各ARFのペアーの下流で働く特異的なエフェクタータンパク質を同定することでARFの特異的な輸送経路の制御機構を明らかにできると考えている。今後は異なるARFのペアーの特異的なエフェクタータンパク質はなにか、またRabと共通するエフェクターを介してどのようにRabと機能的にリンクしているのかを調べていく。

次年度の研究費の使用計画

論文投稿費として20万円、研究打ち合わせや学会での研究成果発表の旅費として10万円、その他の費用として5万円、そのほかはすべて研究試薬、研究器具等の購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Mitosis-Coupled, Microtubule-Dependent Clustering of Endosomal Vesicles around Centrosomes2013

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Takatsu, Yohe Katoh, Tomoko Uede, Satoshi Waguri, Takashi Murayama, Senye Takahashi, Hye-Won Shin, Kazuhisa Nakayama
    • 雑誌名

      Cell Structure and Function

      巻: 38 ページ: 31-41

    • DOI

      10.1247/csf.12028

    • 査読あり
  • [雑誌論文] EFA6 locally activates Arf6 and targets it to the Flemming body during cytokinesis2013

    • 著者名/発表者名
      Tomoko Ueda, Ayako Hanai, Tomomi Takei, Keiji Kubo, Minako Ohgi, Hiroyuki Sakagami, Senye Takahashi, Hye-Won Shin, Kazuhisa Nakayama
    • 雑誌名

      FEBS Letters

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mechanisms of membrane curvature generation in membrane traffic2012

    • 著者名/発表者名
      Shin, H.-W., Takatsu, H., and Nakayama, K.
    • 雑誌名

      Membranes

      巻: 2 ページ: 118-133

    • DOI

      10.3390/membranes2010118

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structural basis for membrane binding specificity of the Bin/Amphiphysin/Rvs (BAR) domain of Arfaptin-2 determined by Arl1 GTPase2012

    • 著者名/発表者名
      Nakamura, K., Man, Z., Xie, Y., Hanai, A., Makyio, H., Kawasaki, M., Kato, R., Shin, H.-W., Nakayama, K., and Wakatsuki, S.
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem.

      巻: 287 ページ: 25478-25489

    • DOI

      10.1074/jbc.M112.365783

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rab11 regulates exocytosis of recycling vesicles at the plasma membrane2012

    • 著者名/発表者名
      Takahashi, S., Kubo, K., Waguri, S., Yabashi, A., Shin, H.-W., Katoh, Y., and Nakayama, K.
    • 雑誌名

      J. Cell Sci.

      巻: 125 ページ: 4049-4057

    • DOI

      10.1242/jcs.102913

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structural basis for Arf6-MKLP1 complex formation on the Flemming body responsible for cytokinesis2012

    • 著者名/発表者名
      Hisayoshi Makyio, Minako Ohgi, Tomomi, Takei, Senye Takahashi, Yohei Katoh, Ayako Hanai, Tomomi Ueda, Yasuhiro Kanaho, Yong Xie, Hye-Won Shin, Kazuhisa Nakayama
    • 雑誌名

      EMBO Journal

      巻: 31 ページ: 2590-2603

    • DOI

      10.1038/emboj.2012.89.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ゴルジ体以降の小胞輸送における低分子量GTPaseとBARドメインタンパク質の役割.2012

    • 著者名/発表者名
      申 惠媛、満 智秋、中山 和久
    • 雑誌名

      生化学

      巻: 84 ページ: 785-790

  • [雑誌論文] ARF1 and ARF3 are reqruied for the integrity of recycling endosomes and the recycling pathway to the plasma membrane2012

    • 著者名/発表者名
      Yumika Kondo, Ayako Hanai, Waka Nakai, Yohei Katoh, Kazuhisa Nakayama, Hye-Won Shin
    • 雑誌名

      Cell Structure and Function

      巻: 37 ページ: 141-154

    • DOI

      10.1247/csf.12015

    • 査読あり
  • [学会発表] メンブレントラフィックにおけるリン脂質フリッパーゼの機能2013

    • 著者名/発表者名
      申 惠媛
    • 学会等名
      第86回日本生化学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      20130911-20130913
    • 招待講演
  • [学会発表] Membrane remodeling in post-Golgi trafficking2013

    • 著者名/発表者名
      申 惠媛
    • 学会等名
      第65回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      ウインクあいち(愛知県)
    • 年月日
      20130619-20130621
    • 招待講演
  • [学会発表] 生体膜の脂質非対称性を調節するP4-ATPaseのゴルジ体以降の商法輸送における機能解析2012

    • 著者名/発表者名
      海野 寛之
    • 学会等名
      第85回日本生化学大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
    • 年月日
      20121214-20121216
  • [学会発表] 生体膜の非対称性を制御するP4-ATPaseの小胞輸送における機能2012

    • 著者名/発表者名
      申 惠媛
    • 学会等名
      第34回生体膜の薬物の相互作用シンポジウム
    • 発表場所
      京都大学薬学部(京都府)
    • 年月日
      20121115-20121116

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公開日: 2014-07-24  

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