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2011 年度 実施状況報告書

一分子観察による植物のプロトンポンプV-ATPaseの細胞内pH恒常性維持機構

研究課題

研究課題/領域番号 23570171
研究機関岩手医科大学

研究代表者

岡本 晴子  岩手医科大学, 薬学部, 講師 (40552899)

研究分担者 二井 將光  岩手医科大学, 薬学部, 教授 (50012646)
中西 真弓  岩手医科大学, 薬学部, 准教授 (20270506)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードATPase / proton / rotation / catalysis
研究概要

細胞質内pHの制御は生物のホメオスタシスにとって鍵となる。液胞型(Vacuolar-type) V型プロトンポンプATPaseは、酵母から動植物の細胞内オルガネラ膜上に普遍的に局在する複合体蛋白質で、ATPエネルギーを用いて回転し、細胞質内の水素イオン(プロトン)をオルガネラ膜内に汲み入れて細胞内pHを一定に保つ。しかしながら、V型プロトンポンプATPaseがいつどのように駆動するかについては、全く解っていない。本研究では、複合体の構成分子(サブユニット)がその作動性に関わる機構を分子レベルで明らかにする。具体的には、酵母液胞膜上に植物のV型プロトンポンプATPaseサブユニットを再構築し、そのATPase酵素活性を解析する。また、暗視野レーザー顕微鏡による一分子観察でその回転触媒における作動性を解析する。平成23年度は、酵母のV型プロトンポンプATPaseの回転素過程を、粘性抵抗が限りなく小さいプローブを用いて詳しく観察・解析した。反応速度及び熱力学的解析から、回転に確率的なゆらぎが起こる原因を詳しく検討した。この結果、世界で初めて、真核生物のV型プロトンポンプATPaseの回転速度が解明し、これを学術論文にまとめている。(二井教授、中西准教授との共同研究) 植物のV型プロトンポンプATPaseのサブユニットを単離し、それぞれのサブユニットを酵母の液胞膜上で再構築できることを確かめた。(岡本)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成23年度は、まず、植物のV-ATPaseサブユニットを全てクローニングした。また、今まで、バクテリアのF型プロトンポンプATPaseに用いられてきた回転の一分子観察の系から、新たにV型の解析系を作り、当該年度はその回転速度の解析を行った。粘性抵抗の小さなプローブを用いて、回転速度を求めることに成功し、さらに、世界で初めて、真核生物のV型プロトンポンプATPaseの回転ステップ、速度のゆらぎを解明した。このことから、V型プロトンポンプATPaseの回転機構は、今まで報告された回転触媒酵素とは全く異なることがわかった。現在、国際的に著名な学術科学誌に投稿するべく、結果をまとめている。さらに、酵母のV型プロトンポンプATPaseにおいて、EサブユニットのN-末から44番目のグルタミン酸が、酵素の回転触媒活性に特に重要な役割を担うこと、このグルタミン酸がグルコース依存的な酵素の会合制御に重要であることを発見し、これを平成23年度9月の日本生化学会年会、12月の生体エネルギー研究会、および平成24年度6月の国際学会(FASEB: Transport ATPase meeting.)にて発表し、また科学学術誌に投稿すべく論文をまとめている。

今後の研究の推進方策

24年度1)V型ATPaseの回転機構とエネルギー共役機構の解明 酵母V型ATPaseの回転機構を解析し、V型ATPaseがATPを無駄遣いしないようにする機構を明らかにする。植物のV型ATPasについても回転機構を解析し、ゆらぎ、ステップ、等を明らかにする。(中西准教授との共同研究)2)V型ATPaseのプロトン輸送活性制御因子の探索引き続き、V型ATPase複合体と結合し、この活性を制御する因子を探索する。(二井教授・中西准教授との共同研究)

次年度の研究費の使用計画

研究補助員を半年間雇用して、回転触媒機構の解明を行う。また、残りの50%程度を薬品(V-ATPaseの回転観察、酵母、植物の培養、分子生物学用試薬、生化学用試薬)および、各種 プラスチック器具の購入に充てる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Rotational catalysis in proton pumping ATPases: From E. coli F-ATPase to mammalian V-ATPase2012

    • 著者名/発表者名
      Masamitsu Futai, Mayumi Nakanishi-Matsui, Haruko Okamoto, Mizuki Sekiya, Robert K. Nakamoto
    • 雑誌名

      Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Bioenergetics

      巻: 未定 ページ: 未定

    • 査読あり
  • [学会発表] A functional analysis of vacuolar H+ ATPase subunit E in yeast2011

    • 著者名/発表者名
      岡本晴子、二井將光
    • 学会等名
      第84回 日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都国際会議場
    • 年月日
      2011年9月22日
  • [学会発表] 酵母Saccharomyces cerevisiae, V-ATPase VoV1複合体のグルコース依存的な解離におけるEサブユニットの機能2011

    • 著者名/発表者名
      岡本晴子、梅木香里、二井將光
    • 学会等名
      第37回 生体エネルギー研究会討論会
    • 発表場所
      京都産業大学
    • 年月日
      2011年12月21日
  • [図書] Nova Science Publishers2012

    • 著者名/発表者名
      Mayumi Nakanishi-Matsui, Sylvie Breton, Haruko Okamoto and Masamitsu Futai
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      Roles and regulatory mechanism of proton pumping V-ATPase in spermatozoa and epididymis physiology
  • [図書] "Encyclopedia of Biophysics" Springer-Verlag2012

    • 著者名/発表者名
      Haruko Okamoto, Masamitsu Futai
    • 総ページ数
      11
    • 出版者
      Vacuolar Type ATPases in Animal and Plant Cells.

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公開日: 2013-07-10  

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