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2012 年度 実施状況報告書

高硫酸化コンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸の生理的・病理学的機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23570175
研究機関愛知医科大学

研究代表者

羽渕 脩躬  愛知医科大学, 公私立大学の部局等, 客員教授 (90024067)

キーワードコンドロイチン硫酸 / デルマタン硫酸 / GlaNAc4S-6ST / 肝繊維化 / デコリン / MMP
研究概要

私たちはマウス肝臓にGalNAc(4,6-SO4)残基を高度に含む高硫酸化コンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸(CS/DS-E)を側鎖に持つデコリン、ビグリカンが豊富に存在すること、GalNAc4S-6ST KOマウスではGalNAc(4,6-SO4)残基が消失しすべてGalNAc(4SO4)残基に変化することを見いだした。肝臓デコリンは肝繊維化で著明に増加することが知られており、CS/DS-Eが肝繊維化に重要な関連を持つと考えられる。
肝繊維化に及ぼすCS/DS-Eの役割を解明するため、野生マウス及びGalNAc4S-6ST KOマウスに四塩化炭素/ミネラルオイル混合溶液(四塩化炭素として2ml/kg)を週2回、9回腹腔注射し、肝臓に繊維化を引き起こした。四塩化炭素投与後9週間飼育を継続し回復過程を観察した。四塩化炭素投与終了後2日では野生型とGalNAc4S-6ST KOマウスの両方でコラーゲン量の増加、COL1a1, TIMP-1, TIMP-2, MMP2, MMP9,MMP13のmRNA発現増加、血清中のアルカリホスファターゼ(AP), ALTの増加、組織へのコラーゲンの沈着とDecorinの増加を観察したが、野生型とGalNAc4S-6ST KOマウスの間で顕著な違いは観察されなかった。回復過程ではコラーゲン量、Sirius redによるコラーゲン繊維の沈着、AP活性、ECM成分 (decorin, COL1、COL3)染色、αSMA mRNAなどからGalNAc4S-6ST KOマウスの方が回復に遅れが観察され、CS/DS-Eが繊維化の回復過程に関与していることが推定される。今後繊維化の回復過程に働く因子の遺伝子発現、活性を肝臓から単離した星細胞を用いて野生とKOマウスで比較し、回復過程におけるCS/DS-Eの役割を解明する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

四塩化炭素投与による肝繊維化の進行過程ではCS/DS-E欠損マウスと野生型マウスでは違いが見られないが、回復過程ではCS/DS-E欠損マウスでは野生マウスよりも回復が遅れているという観察は、CS/DS-Eが繊維化の回復過程に何らかの機能を果たしていることを初めて示した成果である。CS/DS-E機能を解明するには組織レベルだけではなく、肝臓ECM成分の代謝に深く関わる星細胞を用いた細胞レベルの実験が重要である。私たちは野生マウス、KOマウスの肝臓から単離した星細胞の培養をすでに始めており、細胞レベルの実験が可能となっている。神経細胞の機能に及ぼすCS-Eの役割については今年度は進展が無かったが引き続き共同研究を進めている。

今後の研究の推進方策

今までの研究により主に肝繊維化の回復過程にCS/DS-Eが機能している可能性が示された。今後の研究では、肝繊維化の回復過程へのCS/DS-Eの関与をさらに調べるため、9週以上の長期間の回復過程を調べる。回復過程にはコラーゲン繊維の分解吸収過程やアポトーシスが関係する。肝繊維化の回復過程におけるHS-CS/DSの機能を明らかにするため、これらの過程に関与する酵素やサイトカインの動態を組織、細胞レベルで調べる。培養星細胞を用いて、分解吸収過程に働くタンパク質のmRNAの発現に及ぼす炎症性サイトカインの影響、zymographyによるMMPの発現、Chase ABC, heparinaseの影響、GAG及びその類似糖鎖の影響を調べる。

次年度の研究費の使用計画

肝臓の繊維化に伴い変化するタンパク質、酵素、サイトカインの動態を調べるため種々の抗体、サイトカイン、酵素類、mRNA発現キット、星細胞培養のための試薬がが必要となる。CS-E特異的抗体を精製するため培養試薬および抗体精製カラム類が必要である。組織化学的実験に必要な消耗品、抗体、キットが必要である。国内学会出張旅費が必要。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Heparan sulfate 6-O-sulfotransferase isoform-dependent regulatory effects of heparin on the activities of various proteases in mast cells and the biosynthesis of 6-O-sulfated heparin2012

    • 著者名/発表者名
      Md. Ferdous Anower-E-Khuda, Hiroko Habuchi, Naoko Nagai, Osami Habuchi, Takashi Yokochi, and Koji Kimata
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem.

      巻: 288 ページ: 3705-3717

    • DOI

      10.1074/jbcM112.416651

    • 査読あり
  • [学会発表] Heparan sulfate 6-O-sulfotransferase isoform-dependent regulatory effects of heparin on the activities of various proteases in mast cells and the biosynthesis of 6-O-sulfated heparin.2012

    • 著者名/発表者名
      Md.Ferdous Anower-E-Khuda, Hiroko Habuchi, Naoko Nagai, Takashi Yokochi, Osami Habuchi, Noriko Sugaya, Koji Kimata
    • 学会等名
      Gordon Research Conference (Proteoglycans )
    • 発表場所
      Proctor Academy, Andover, NH, USA
    • 年月日
      20120708-20120713

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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