研究課題/領域番号 |
23570180
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
中村 敏英 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所応用微生物研究領域, 主任研究員 (60391588)
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キーワード | Eos1 / 活性酸素種 |
研究概要 |
出芽酵母EOS1欠損株が酸化ストレス感受性になる原因の1つは、細胞内のスーパーオキシドや過酸化水素が増加していることが昨年度までに明らかとなった。細胞内でこれら活性酸素種が増加している原因について検証するために、活性酸素種の分解酵素をコードする遺伝子の発現量をリアルタイムRT-PCRで解析した。スーパーオキシドジスムターゼ2種(SOD1、SOD2)およびカタラーゼ2種(CTT1、CTA1)について解析を行った結果、SOD2およびCTA1の遺伝子発現が大きく低下していることが明らかとなった。EOS1欠損株細胞内では、ミトコンドリアやペルオキシゾームにおける活性酸素種の分解機能が低下していることが推測された。また、酸化ストレス条件におけるEOS1欠損株の遺伝子発現変化についてDNAマイクロアレイ解析を行った結果、活性酸素種消去に関わる遺伝子の発現が野生株よりも大幅に上昇していた。このことから、通常よりも高い酸化ストレスを受けているため、酸化ストレスで発現誘導される遺伝子の発現量も大きく上昇していることが推定された。現在、EOS1遺伝子と機能的な相互作用がある遺伝子を同定するために、EOS1遺伝子の欠損変異と合成致死になるような遺伝子変異のスクリーニングを行っている。これまでに約1,000遺伝子について解析を行い、二重欠損により致死、あるいは生育遅延を起こす遺伝子を数種同定できた。引き続き、残りの遺伝子についても解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
活性酸素分解酵素の解析やDNAマイクロアレイ解析は、ほぼ計画書通りに研究が進んでいる。また合成致死変異のスクリーニングも完了の目途が立っていることからおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
合成致死変異のスクリーニングを完了し、研究計画書通りにアポトーシスの解析や合成致死遺伝子の解析を開始し、研究を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画どおり使用する。なお、次年度使用額 73,559円 は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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