研究課題
(1) 血餅退縮に関わるフィブリン以外のラフト移行分子の探索:昨年度までにラフトに移行したフィブリンが、血小板膜に存在する受容体であるインテグリンに細胞の外側から結合することを見出していたが、今年度は細胞骨格タンパク質の一つであるミオシンがラフトに移行することを見出した。(2) スフィンゴミエリン合成酵素欠損血小板を用いた血餅退縮の解析:スフィンゴミエリン合成酵素欠損血小板では野生型と比較し、スフィンゴミエリンラフトの減少量に相関して血餅退縮の速度が遅くなった。このことから、スフィンゴミエリンラフトは血餅退縮に関わっていることがわかった。(3) フィブリンラフト移行のメカニズムの解析:血液凝固XIII因子欠損血小板では、フィブリンラフト移行および血餅退縮が欠如することを見出した。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究で、フィブリンの血小板膜ラフトへの移行の血液凝固における役割を調べたところ、その移行は血小板の外側から働く血液凝固XIII因子に依存して血餅退縮に関わっていることを明らかにした。同時に細胞の内側から働くXIII因子も必要であることがわかり、本研究に関連した新たな課題が見つかったから。
血小板細胞質中における血液凝固XIII因子トランスグルタミナーゼの基質タンパク質を単離同定し、血餅退縮との関わりについて調べる。
血餅退縮には血液凝固XIII因子トランスグルタミナーゼが必要であり、25年度までに基質の一つとしてフィブリンの役割を明らかにしたが、同時に血小板細胞質中の未知の基質の役割も必要であることもわかった。そこで計画を一部変更して、血小板細胞質中の基質の単離同定を行うことにした。血液凝固XIII因子トランスグルタミナーゼは、グルタミン残基とリジン残基の間を架橋する反応以外に、グルタミン残基に低分子量アミンを取り込む反応も触媒する。そこで血小板にビオチン標識低分子量アミンを取り込ませ、基質タンパク質を標識し、ストレプトアビジンクロマトグラフィーで精製し、質量分析により同定する。
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