ユビキチンはタンパク質の機能を制御する必須の修飾分子である。ユビキチンの発現は環境に応じて変動し適切な量に調節されており、ユビキチン量が調節されていること(ユビキチンホメオスタシス)は、生命活動の維持に重要である。我々の同定した分子Rfu1は、出芽酵母においてエンドソームに局在し、脱ユビキチン化酵素Doa4を阻害することによって、細胞内の単量体ユビキチンレベルを制御している。本研究ではRfu1の機能制御機構の解明を行った。 Doa4はエンドソームで働く分子Bro1によってエンドゾーム局在と活性が制御されている。我々はBro1がRfu1の局在と分解も制御していることを明らかにした。Bro1とRfu1は直接結合し、Bro1のVドメインとRfu1のYPEL モチーフがその結合に必須だった。したがって、Bro1の哺乳類ホモログAlixのV ドメインと細胞内及びウイルスのYPX(n)L モチーフを持つ蛋白質の相互作用が、酵母でも働いていることがわかった。さらに、Bro1のV ドメインの過剰発現は、熱ショックストレスによるRfu1の分解を抑えた。以上の結果より、Doa4のポジティブな制御因子であるBro1は、Doa4のネガティブ制御因子であるRfu1も制御していることがわかった。 さらに、ユビキチンリガーゼRsp5の変異体では熱ショックストレス時のRfu1の分解が遅延した。したがって、ユビキチン・プロテアソーム系の分子がRfu1の分解に関与していることを示した。
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