研究課題/領域番号 |
23570185
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
横尾 岳彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖医工学研究センター, 主任研究員 (60358306)
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研究分担者 |
地神 芳文 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖医工学研究センター, 招聘研究員 (30357496)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | GPI アンカー / 細胞膜 / 細胞壁 / 酵母 / マイクロドメイン / 脂質ラフト / 糖鎖生物学 |
研究概要 |
GPI-AP の有する脂質の構造の違いが GPI-AP の最終目的地(細胞膜あるいは細胞壁)を決定している、という可能性を検証するため、以下のような実験を行った。 GPI-AP がセラミド型に変換されると細胞膜に留まるのならば、セラミド変換に関与する cwh43 遺伝子破壊株においてはジアシルグリセロール型の GPI-AP しか存在しないため、細胞膜に局在する GPI-AP が減少していることが期待される。そこで、本来は細胞膜に局在する GPI-AP である Gas1p を野生型および cwh43 破壊株の細胞膜より抽出し、イムノブロッティングにより定量したところ、cwh43 破壊株では細胞壁の Gas1p の相対量が増加傾向を示すことを見いだした。 GPI-AP が細胞膜に留まるか細胞壁に移行するかは、タンパク質のωサイト上流のアミノ酸配列が重要な役割を担っている。細胞膜の GPI-AP はセラミド型、細胞壁の GPI-AP はジアシルグリセロール型という使い分けがなされている可能性を検証するため、細胞膜にとどまりセラミド型の GPI を有する Gas1p と、細胞壁に移行しジアシルグリセロール型の GPI を有する Cwp2p のωサイト上流の配列を互いに入れ替えたキメラタンパク質を作製し、局在を調べたところ、細胞壁/細胞膜の存在比が逆転することを明らかにした。 GPI-AP は細胞膜上のマイクロドメインに局在するが、脂質リモデリングが異常になるとマイクロドメイン上に局在できなくなることを、これまでに明らかにしてきた。脂質リモデリングの異常がマイクロドメイン上の複数回膜貫通型タンパク質(例、Tat2p)の局在にも影響するかを調べた結果、脂質リモデリングの変異株においては Tat2p がマイクロドメインに会合できなくなることを、生化学的に明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記述した研究実施計画におおむね沿った形で研究が進められているため。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね今の方向性を保ちつつ、さらなる研究の進展を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成 23 年度の初頭は震災復旧に当たっており実験が不可能であったため、その分で次年度使用額が生じた。今年度はこの分を物品費および実験補助者の謝金に充当し、さらなる研究の加速を図りたい。
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