研究課題/領域番号 |
23570192
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
星野 大 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (70304053)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | アミロイド / 可溶性オリゴマー / NMR / 分子シャペロン / 構造解析 |
研究概要 |
ATP 加水分解活性の低い変異型分子シャペロン SR398 をもとに、内在性の Cys 残基を Ala に置換した (C138A/C458A/C519A)。更に、SR398 の内腔の最奥部に位置する Ser43 を Cys に置換し、システイン残基をただひとつもつ変異型分子シャペロン SR398-C を作製した。また、モデル基質としてユビキチンおよび緑色蛍光蛋白質のそれぞれに、Cys 残基を付加した変異体を作製した (Ubq-C, GFP-C)。 これらの変異型 SR398-C と変異型基質蛋白質 Ubq-C, GFP-C のそれぞれをジスルフィド結合により架橋したヘテロダイマーを作製し、分子シャペロンカプセルを再構築した後に還元剤を添加して基質蛋白質を内腔に隔離した。 上述の方法により作製した分子シャペロンカプセルの安定性をゲルろ過クロマトグラフィーにより評価した結果、周囲に過剰量の AMP-PNP と GroES が存在する場合には一日経過後でも、ほぼ 100% の基質蛋白質が封入されていたのに対し、AMP-PNP, GroES 非存在下においては封入効率が 10% 以下に低下することが明らかとなった。 これらの結果から、見かけ上安定な複合体を形成している SR398 と GroES が、AMP-PNP 存在下において、結合・解離のサイクルを繰り返している事が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ATP アナログである AMP-PNP は、加水分解されない基質としてしばしば用いられて来た。本研究でも AMP-PNP を用いて分子シャペロンカプセルの安定化を図ったが、予想に反して SR398 と GroES が結合・解離のサイクルを繰り返しているという結果を得た。SR398 と GroES がより安定に複合体を形成する条件を探し出す必要がある。アミロイドβペプチドの大量発現系の構築等の他の研究状況は順調に進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
現在までに、AMP-PNP の代わりに ATP-gS を用いる事により分子シャペロンの安定性が向上するという結果を得ている。今後も引き続き条件検討を行ない、分子シャペロンカプセルの安定化を図る。必要に応じて、グルタルアルデヒドなどの架橋剤により、SR398 と GroES により形成されたカプセルを「固定化」する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
2011年度に予定していた、安定同位体標識蛋白質を得る為の 15N-塩化アンモニウム、13C-グルコースなどの高額の試薬の購入がなかったため。本年度にその購入等に充てる。
|