研究課題/領域番号 |
23570192
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
星野 大 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (70304053)
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キーワード | アミロイド / 可溶性オリゴマー / NMR / 分子シャペロン / 構造解析 |
研究概要 |
昨年度までに作製した、SR398 の内腔の最奥部に Cys をただひとつもつ SR398-C 変異型 GroEL を用いて、モデル基質蛋白質 GFP-C の封入効率を解析した。塩濃度および ATP アナログの種類を変えて封入効率を比較した結果、ATP-gS > AMPPNP > ATP の順に高い封入効率を示す事が明らかとなった。また、溶液中に高濃度 (200 mM) の塩化ナトリウムが存在すると封入効率が低くなることも明らかとなった。 これらの結果をもとに、塩化ナトリウム比存在下において ATP-gS を用いて、GFP-C およびより小さい分子量をもつモデル基質 Ubq-C のそれぞれについてカプセル内における封入効率を算出した。その結果、分子量が 27 kDa の GFP-C は 90% 以上の効率で封入されたのに対し、分子量 9.5 kDa の Ubq-C では速やかにカプセルから漏出してしまう事が明らかとなった。 以上の結果より、分子量 4 kDa のアミロイドβペプチドを単独でカプセル内に封入することは困難であるものの、カプセル内に7分子を封入し、カプセル内において重合反応を進行させることにより分子量 28 kDa の7量体を作製したのちにカプセル内に放出することにより、効率よく封入する事が可能になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデル基質 Ubq-C ならびに GFP-C を用いた解析により、分子シャペロンカプセルへの封入にはある程度の分子量が必要である事が明らかとなった。その知見をもとに、カプセル内においてアミロイドβペプチドの重合反応を進行させる事とした。これまでに、アミロイドに特異的に結合する蛍光色素チオフラビンTを用いて、カプセル内において重合反応が進行する条件を見いだしている。
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今後の研究の推進方策 |
カプセル内において、アミロイドβペプチド7量体オリゴマーが安定に存在する条件を見つけ出す。その後、安定同位体標識ペプチドを作製し、これまでに明らかにされていない「可溶性オリゴマー」の構造を世界に先駆けて明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
分子シャペロンカプセルの安定性の解析のために、ゲルろ過 HPLC カラムを購入する。また、高額な安定同位体試薬の購入に充てる。
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