研究課題/領域番号 |
23570207
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡部 弘基 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20455398)
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キーワード | mRNA / イメージング / アンチセンスプローブ |
研究概要 |
本研究では、これまでに開発した線形アンチセンスプローブを用いた生細胞内mRNAイメージング法を応用して、細胞質におけるmRNAを介したダイナミックな翻訳活性調節や分解といった細胞機能に重要な現象の解析を行うことを目指している。昨年度までに生細胞内における線形アンチセンスプローブの細胞内におけるハイブリダイゼーションの特性を分析し、優れた結合カイネティクスを有することを見出した。さらに、その特性を活かして、細胞がストレスを受けた際に速やかに局在やダイナミクスを変化させる現象の観察に応用した。 本年度は、本法のmRNAイメージング法としての一般性を確立するため、任意のmRNAを標的としたプローブ開発を行った。まず、グリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)のmRNAを標的として、その予測二次構造を参考にしてプローブ配列の設計を行った。次いで、結合を評価するため、プローブが内在性GAPDH mRNAとの結合により見かけ分子量が著しく増大してブラウン運動が遅くなることを細胞内定量的拡散解析法により解析した。この結果、実際に標的mRNAとの結合が確認されているアンチセンスプローブがmRNAとの結合により有意に拡散が遅くなることに加えて、GAPDH mRNAを標的とした候補プローブのうち数種類のプローブが結合している結果を得た。 さらに、設計・評価したGAPDH mRNAアンチセンスプローブを用いて、内在性GAPDH mRNAのイメージング、および蛍光相関分光法(FCS)を用いた発現量の定量的解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、迅速なmRNA局在変化の実時間追跡を優先させて検討したが、本年度はアンチセンスプローブ設計についてその設計法と評価法を考案、実践した。さらに、プローブとmRNAの結合を拡散の変化から検出する原理に関して、その信頼性や拡張性を検討するために、プローブのハイブリダイゼーションを定量的に解析し、細胞内において有用であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに開発してきた線形アンチセンスプローブによる内在性mRNAイメージングおよび定量解析法の有用性を確認するために、既存のRNA標識法では追跡不可能であった現象の解明へと応用する。具体的には、生細胞内での内在性mRNAの分解反応などを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞アッセイに用いる細胞培養や生化学消耗品に加え、新たに導入するアンチセンスプローブの調製に充てる予定である。
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