研究概要 |
ユビキチン化とSUMO化では、アミノ酸配列の類似したE2酵素(ユビキチン化ではUbc5, Ubc13, SUMO化ではUbc9)にユビキチンおよびSUMOが結合した中間体が生成されE3酵素を通してターゲット特異的にユビキチンあるいはSUMOを結合させる反応が起こる。ユビキチン化ではE3酵素がもつRing-fingerドメインあるいはU-boxドメインがE2酵素と相互作用することにより、E2-E3間の相互作用が担われている。SUMO化にかかわる蛋白質では、Ring-fingerやU-boxと類似した亜鉛結合ドメインをもつにもかかわらずユビキチン化に関わらずに、SUMO化にかかわるものがある。本研究では、このような亜鉛結合ドメインのなかでSP-ringドメインとPMLリングドメインについて、SUMO化反応のなかでどのような働きをしているかについて構造生物学的な解析を行い、ユビキチン化とSUMO化を区別する要因について考察した。高等動物のSP-ringドメインは、構造解析のされていた酵母のSP-ringドメインとは異なる構造をもち、Ubc9の認識を行っていることを明らかにした。また、PML-リングドメインも、いままで、知られていたRing-fingerドメインとは異なる構造をもつことがわかった。PML-リングは、MBPとの融合蛋白質によりSUMO化を受けるが、Ubc9、SUMOとの直接の相互作用は、NMR法によって観測することができず、従来とはことなるSUMO化様式をもつことが考えられる。また、ADP-リボシル化axinのユビキチン化に関係するE3酵素RNF146のもつ新規のWWEドメインについて、ターゲットであるADP-riboseとの複合体解析に取り組み、PARPに存在するWWEドメインとの違いを明らかにすることができた。
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