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2012 年度 実施状況報告書

翻訳後修飾依存的なクロマチン構造変換解析システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 23570219
研究機関独立行政法人情報通信研究機構

研究代表者

小川 英知  独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所 バイオICT研究室, 主任研究員 (20370132)

キーワード転写因子 / クロマチン / 翻訳後修飾 / 核内受容体 / 核構造
研究概要

発生段階の細胞分化過程において、転写因子のクロマチン上にある標的遺伝子への結合制御は細胞の運命決定に重要なステップであり、その過程に必須な転写制御領域のクロマチン構造変換機構の解析が、エピジェネティック制御を理解する上でも重要な課題の一つである。
本研究では初年度に従来の手法では困難であったゲノム上の転写制御領域のクロマチン構造を可視化するシステム構築を目的に、ステロイドレセプター(GR)の標的配列(MMTV-LTR)を直列に複数コピーゲノム上に有したMMTVアレイ細胞株をヒトがん細胞で樹立した。これによってホルモンの添加によって活性のON/OFFが可能なGRのクロマチンへの結合を可視化でき、その結合に伴った転写活性化時のクロマチン構造変換を蛍光顕微鏡および超高解像度顕微鏡によって経時観察することが可能となった。この細胞を用いてGRともに、SUMO化修飾依存的にGRに結合する介在因子ARIP4の局在変化を経時的に観察を行った。観察の結果、GRは予想通りホルモン依存的に細胞質から核へ移行し、速やかにMMTVアレイ上に局在する様子が見られた。一方ARIP4はホルモン非添加で核内にドット状の局在を示し、核内の特定の構造体に局在しているが、ホルモン添加によってその構造体から速やかに解離した後、MMTVアレイ上に局在するのが観察された。この事は核内構造体が介在因子の標的遺伝子へのリクルートに対して重要な前段階である可能性を示している。またARIP4がATP依存的なクロマチン構造変換因子であることから、ホルモン依存的な核内での局在変化は核内構造とクロマチン構造変換のクロストークを示唆するものだと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の律速段階である生細胞の経時観察の条件設定は順調に進み、現在ホルモン添加後2時間以上の生細胞における核内複合体形成の蛍光観察が可能となった。具体的にはホルモン依存的な核内局在変化の蛍光観察の妨げにならない培養液および血清の選択、比較的短時間ながら培養液の蒸発を防ぐための対策などの検討を行い通常の培養条件に近い状態で顕微鏡下での観察を可能とした。この実験系が安定に再現性良く行えることによって、本年度予定としている時間軸に沿った生化学的な解析が可能となる。

今後の研究の推進方策

これまで解析を行ってきたMMTV上での転写複合体の解析を一般化するために、核内受容体とその介在因子のクロマチン上への結合のゲノムワイドの解析を進める。これらの因子の結合を明らかにするChIP-seq、クロマチンの構造変換を調べるFAIRE-seq.およびその細胞での遺伝子の発現の変化を検出するRNA-seqを組み合わせることで、本研究で着目するクロマチン構造変換と、それを担う複合体の形成機構、それによって行われる遺伝子発現制御をゲノムワイドに明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

該当無し

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] SUMO化依存的コファクターARIP4の核内受容体との複合体形成および動態の解析

    • 著者名/発表者名
      小川 英知、土屋惠、小松朋子、原口徳子、平岡泰、諸橋憲一郎
    • 学会等名
      第4回 核内受容体研究会
    • 発表場所
      霞が関コモンゲート西館、東京都
  • [学会発表] Exportin 4 interacts with Sox9 through the HMG box and inhibits the DNA binding of Sox9

    • 著者名/発表者名
      Hidesato Ogawa, Megumi Tsuchiya, Tokuko Haraguchi, Yasushi Hiraoka
    • 学会等名
      JSCB2012
    • 発表場所
      神戸国際会議場、兵庫県
  • [学会発表] 核内受容体の核内動態と転写制御メカニズム

    • 著者名/発表者名
      小川英知
    • 学会等名
      同志社大学生命医科学部遺伝情報セミナー
    • 発表場所
      同志社大学、京都府
    • 招待講演
  • [学会発表] クロマチン構造変換因子ARIP4の核内受容体との複合体形成および核内動態の解析

    • 著者名/発表者名
      小川 英知、土屋惠、原口徳子、平岡泰
    • 学会等名
      第35回 日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場・マリンメッセ福岡、福岡県

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公開日: 2014-07-24  

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