• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

高度に進化した2種のシャペロニンによる細胞機能制御

研究課題

研究課題/領域番号 23570220
研究機関秋田大学

研究代表者

久保田 広志  秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80332724)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード分子シャペロン / フォールディング / 基質特異性 / タンパク質相互作用 / ATP
研究概要

細胞内で生合成される蛋白質は、アミノ酸の鎖であるポリペプチドとして翻訳されるが、正しい立体構造を獲得しなければ、その機能を発揮することができない。しかしながら、生合成直後のポリペプチド鎖は、他のタンパク質との不必要な相互作用を高頻度に起こしてしまうため、常に変性や凝集の危険にさらされている。このため、分子シャペロンと呼ばれる一連の蛋白質が正しい構造をつくるまで介助する。CCTとHSP60はタンパク質成熟を介助するシャペロニンである。シャペロニンは、2重リング型の複合体を作って、中央の空洞の中でタンパク質の折りたたみを促進する分子シャペロンであり、細胞質にはCCT が存在し、ミトコンドリアにはHSP60が分布している。CCTは、ヒトを初めとする全ての真核細胞の細胞質においてアクチンやチューブリンのフォールディングに必須の分子である。CCTは8種類ものサブユニットを介した非常に複雑で巧みなシャペロン機能を備えていると考えられているが、この8種類あるサブユニットの役割と作用機構は明らかになっていない。HSP60についても、その機能の詳細は不明なままである。そこで、本研究は、これらのシャペロニンのもつ機能を明らかにすることを目的とした。本年度は、CCTについては、動物組織から精製したものを用いて、機能解析を行い、CCTにはGTPase活性があることを明らかにした。さらに、HSP60については大腸菌を使ったリコンビナントの発現系により、タンパク質を精製し、その構造と機能に関して、データを得ることができた。この結果、HSP60はGroELとは異なる反応サイクルを持っていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CCTに関して機能解析を行い、GTPase活性があることを見出した。さらに、HSP60の構造と機能を解析し、そのデータから、HSP60はGroELと異なるユニークな反応サイクルを持っていることが示唆された。これらの発見は、シャペロニンの機能を考える上で、重要な知見であるとともに、今後の詳細な解析において、重要な基盤となるので、おおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

今年度に得たデータの基盤の上に立ち、さらに詳しい解析を行うことにより、シャペロニンの機能を明らかにしてゆく。特にサブユニットの働きに関して、詳しく調べて行きたい。

次年度の研究費の使用計画

細胞を凍結保存するための液体窒素保存容器の購入を行おうとしたところ、当該製品が輸入待ちとなっており、次年度にならないと納品できない状況であったため、当該研究費を次年度に繰り越して、次年度に購入することとした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Cytosolic chaperonin CCT possesses GTPase activity.2011

    • 著者名/発表者名
      Noguchi et al.
    • 雑誌名

      Am. J. Mol. Biol.

      巻: 1 ページ: 123-130

    • DOI

      10.4236/ajmb.2011.13013

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Protective role of the ubiquitin binding protein Tollip against the toxicity of polyglutamine-expansion proteins2011

    • 著者名/発表者名
      Oguro et al.
    • 雑誌名

      Neurosci. Lett.

      巻: 503 ページ: 234-239

    • 査読あり
  • [学会発表] シャペロニンHsp60 のATP、Hsp10 依存的なダブルリング化について2011

    • 著者名/発表者名
      石田竜一 他
    • 学会等名
      第11回日本蛋白質科学会年会
    • 発表場所
      大阪市
    • 年月日
      2011年6月7-9日

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi