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2012 年度 実施状況報告書

植物細胞に特有の液胞の形成・拡大とそれらに伴うオートファジーの解析

研究課題

研究課題/領域番号 23570222
研究機関埼玉大学

研究代表者

森安 裕二  埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20200454)

研究分担者 金子 康子  埼玉大学, 教育学部, 教授 (30194921)
キーワードオートファジー / 液胞形成 / シロイヌナズナ / 細胞成長 / ミニプロトプラスト / 根伸長
研究概要

1. ミニプロトプラストを調製する技術を整備した。オートファゴソームのマーカータンパク質であるGFP-Atg8タンパク質を恒常的に発現するタバコ培養細胞より調製したミニプロトプラストにおける液胞形成の過程を観察した。この過程ではオートファゴソームがまれではあるが観察された。膜透過性システインプロテアーゼ阻害剤E-64dで処理すると形成される液胞には細胞質未分解物が蓄積していた、すなわち、液胞はオートファジーを行いながら形成されることが確認された。このとき、オートファジー阻害剤3-メチルアデニンで処理すると、オートファオゴソームは見られなくなったが、形成される液胞内への細胞質未分解物の蓄積は起こった。すなわち、液胞は3-メチルアデニンに非感受性のオートファジーにより形成されることが示唆された。
2.シロイヌナズナの野生株(WT)とATG5遺伝子が破壊されたatg5株の芽生えより根端 5 mmを切り取り、3%ショ糖を含む1/2MS培地で23℃、1日間培養した。WTの根は 2.9 mm伸びたのに対し、atg5株が2.0-2.1 mmしか伸びず、WTとatg5株の間には統計学的に有意な差があった。培養1日後の根断片の細胞を明視野顕微鏡で観察すると、atg5株はWTに比べて、根端から約 400 µm以降の表皮細胞が小さかった。ヨウ化プロピジウムで細胞壁を蛍光染色して根冠に隠れた細胞を観察すると、根端から 100-300 µmの伸長領域の表皮細胞においても atg5株はWTより細胞が小さいことが分かった。さらに、ショ糖を含まない培地で培養するとオートファジーはさらに活性化し、ショ糖を含む培地で培養したときよりもWTとatg5株で細胞の大きさの差がより開いた。以上の結果はオートファジーが根の細胞伸長に寄与することを示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ミニプロトプラストを用いた液胞形成の解析に関しては、計画していたほとんどのオルガネラマーカーの導入が終わった。さらに、ミニプロトプラストが効率的に調製できるようになった。シロイヌナズナ根を用いた液胞の形成・拡大の解析に関しては、計画していた実験をほとんど終了した。タバコ液胞拡大モデルを用いた液胞の拡大に解析に関しては、前年度にほぼ計画を達成しており、今年度は実験を実施しなかった。
以上、計画のほとんどを達成できたので、このように評価した。

今後の研究の推進方策

ミニプロトプラストを用いた液胞形成の解析に関して。様々なオルガネラマーカータンパク質を発現するタバコ培養細胞から調製したミニプロトプラストを用いて、液胞形成の過程とオルガネラの関係を解析していく。さらに、生物材料としてヒメツリガネゴケを加える。ヒメツリガネゴケではオートファジー関連遺伝子ATG5をノックアウトした株(atg5株)をすでに得ており、atg5株と野生株の原糸体より調製したミニプロトプラストを用いて、タバコ細胞と同様の実験を行なうことで、液胞形成に伴う新奇のオートファジーの存在を証明する。

次年度の研究費の使用計画

以上の実験を進めるのに必要な薬品やプラスティック器具を購入するとともに、結果発表のために出席する学会への旅費(学生旅費を含む)として使用する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] Guidelines for the use and interpretation of assays for monitoring autophagy in higher eukaryotes.2012

    • 著者名/発表者名
      Klionsky, D.J., ------, Moriyasu, Y., -------, Zuckerbraun, B.(約1400人中約850番目)
    • 雑誌名

      Autophagy

      巻: 8 ページ: 445-544

    • 査読あり
  • [学会発表] An autophagic process involved in the genesis of vacuoles in Arabidopsis root cells2013

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, Y., Oh-ye, Y., Kaneko, Y., Inoue, Y., Moriyasu, Y.
    • 学会等名
      第54回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      岡山大学、津島キャンパス
    • 年月日
      20130321-20130323
  • [学会発表] Autophagy pathways in tobacco BY-2 cells and their roles2012

    • 著者名/発表者名
      Moriyasu, Y.
    • 学会等名
      10th International Congress on Plant Molecular Biology
    • 発表場所
      Jeju Island, Korea
    • 年月日
      20121021-26
  • [学会発表] Formation and degradation of oil body in cultured tobacco cells2012

    • 著者名/発表者名
      Nagamine, M., Hiratsuka, N., Inoue, Y., Moriyasu, Y.
    • 学会等名
      10th International Congress on Plant Molecular Biology
    • 発表場所
      Jeju Island, Korea
    • 年月日
      20121021-26
  • [学会発表] Contribution of autophagy to vacuole expansion and cell elongation in the roots of Arabidopsis thaliana2012

    • 著者名/発表者名
      Oh-ye, Y., Moriyasu, Y.
    • 学会等名
      10th International Congress on Plant Molecular Biology
    • 発表場所
      Jeju Island, Korea
    • 年月日
      20121021-26
  • [学会発表] タバコ培養細胞におけるショ糖飢餓に応答した2種類のオートファジーの解析2012

    • 著者名/発表者名
      高塚千広、森安裕二
    • 学会等名
      日本植物学会第76回大会
    • 発表場所
      兵庫県立大学、姫路書写キャンパス
    • 年月日
      20120915-20120917
  • [学会発表] タバコ培養細胞におけるオートファジー経路の解析2012

    • 著者名/発表者名
      樋口智哉、森安裕二
    • 学会等名
      日本植物学会第76回大会
    • 発表場所
      兵庫県立大学、姫路書写キャンパス
    • 年月日
      20120915-20120917
  • [学会発表] ヒメツリガネゴケを用いた環境に応答して誘導される細胞死の解析2012

    • 著者名/発表者名
      佐藤麻衣、田野智也、野村翔平、森安裕二
    • 学会等名
      日本植物学会第76回大会
    • 発表場所
      兵庫県立大学、姫路書写キャンパス
    • 年月日
      20120915-20120917
  • [学会発表] 炭素飢餓に陥ったタバコ培養細胞BY-2で起こるrRNA分解2012

    • 著者名/発表者名
      高木宣広、岩崎良輔、森安裕二
    • 学会等名
      日本植物学会第76回大会
    • 発表場所
      兵庫県立大学、姫路書写キャンパス
    • 年月日
      20120915-20120917

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公開日: 2014-07-24  

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