研究課題/領域番号 |
23570225
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
丑丸 敬史 静岡大学, 理学部, 教授 (50262788)
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研究分担者 |
松本 雅記 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (60380531)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | TOR / TORC1 / rapamycin / phosphorylation / phospho-proteomics / yeast |
研究概要 |
<研究内容>1. 質量分析法を用いたTORC1ターゲットの網羅的解析 栄養源で活性化するプロテインキナーゼTORC1をラパマイシンで阻害した際にリン酸化が変動する細胞内タンパク質の網羅的解析を研究計画通りに質量分析法を用いて解析した(質量分析による解析は九州大学の松本雅記が行った)。材料は出芽酵母を用いた。その結果、リン酸化が亢進したもの("RapU"と命名)、減少したもの("RapD"と命名)、それぞれ100を超えるタンパク質ペプチド領域が同定された。この中には、すでにTORC1の活性変化でリン酸化が変動すると報告されているものも含まれており、本手法の正しさが証明された。一方、この中にはこれまで報告されていない新規のタンパク質も含まれており、それらは新規のTORC1のターゲット(直接もしくは間接の)と考えられる。2. RapU1の解析 TORC1不活性化によりリン酸化が亢進された新規のターゲットタンパク質RapU1のリン酸化の変化の重要性を評価するために、そのリン酸化部位のアミノ酸Ser/Thrをリン酸化を受けないアミノ酸Alaもしくは擬似的リン酸化アミノ酸Aspに置換した変異タンパク質を作成した(それぞれ、RapU1-SA, RapU1-SDと命名)。その結果、RapU1-SAは安定性が損なわれた。つまり、ラパマイシン処理によりTORC1が阻害されてRapU1のリン酸化が亢進すると安定性が増加することが示唆された。<意義>最新の技術を用いる事で、TORC1シグナル伝達系の新しい下流径路の同定が可能である事が示された。これにより新規タンパク質をターゲットにした新薬の開発が促進されることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大きく2つにプロジェクトは別れている。(1) 質量分析法を用いたTORC1ターゲットの網羅的解析(2) (1)で見出されたタンパク質の詳細な解析(1)はすでに計画通り完了した。(2)に関しても計画通り開始されており、残りの2年間で研究は順調に進行させることができる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
現在研究を進めているRapU1だけではなく、並行して他のRapU、RapDタンパク質に関しても2, 3について同様な手法で解析を進めて行く予定である。その中にはDNAに結合すると予想されるタンパク質も見出されていることより、それらのタンパク質に関してはリン酸化によるDNA結合性への影響等も検証して行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
DNAに結合すると予想されるタンパク質に関してはリン酸化によるDNA結合性への影響等も検証して行く予定である。その検証にはChIP法を用いる。そのために、備品機器としてReal-time PCR機の購入を検討している。
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