研究課題/領域番号 |
23570233
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
角 智行 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90378894)
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キーワード | 発生・分化 / 幹細胞 / シグナル伝達 |
研究概要 |
本計画研究では、初期胚発生過程の内部細胞塊として胚性幹細胞株を、原始外胚葉としてエピブラスト幹細胞株をモデル系として、生体において着床前後に生じる幹細胞の性質転換,胚体外・胚体内組織由来のシグナル因子に対する応答性の変化がどの様な分子機構によって成立するのか、そのメカニズムを分子・細胞レベルで明らかにすることを目標としています。特に、マウス初期胚発生において中心的役割を担っているNodal/Smad2シグナルに焦点を当て、着床後の幹細胞においてNodal/Smad2シグナルはどの様な分子機構で多能性維持の責任因子として機能を獲得しそれを実行するのか、標的遺伝子エピゲノムの変化とその制御に関連づけ明らかにしていきます。今年度はサブテーマ②「Smad2標的遺伝子のエピゲノム」に関して研究を実施しました。 サブテーマ②「Smad2標的遺伝子のエピゲノム 着床によってNodal/Smad2シグナルは幹細胞に対する多能性維持の責任因子として機能を獲得します。恐らくこの過程には何らかの機構により標的遺伝子のエピゲノムにも変化がもたらされている可能性が考えられます。例えば、エピブラスト幹細胞においてSmad2はNanog遺伝子を直接制御していますが、胚性幹細胞においてはその制御はありません。この様に、発生段階の異なる幹細胞において認められるNodal/Smad2シグナルの応答性の違いが、標的遺伝子のエピゲノムの変化に起因するかを明らかにするため、前年度に同定されたSmad2 標的遺伝子のDNAメチル化およびヒストンメチル化の状態を調べました。現在、得られたデータを基にバイオインフォマティクスによる解析を進めています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に予定していたエピブラスト幹細胞を樹立する等の遅れを完全には取り戻せていないため、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年度に引き続き着床前後における幹細胞の多能性維持機構解明に向け以下のサブテーマを実施します。 ①Smad2の新規パートナーの同定と機能解析 一般にSmad2はDNAとの結合能が弱く、その転写制御にはFoxH1, Smad4等のパートナー分子との相互作用が必要です。しかし、これまでのノックアウトマウスの解析から、内部細胞塊、原始外胚葉の多能性維持や中胚葉誘導に対してFoxH1やSmad4は必須でないことが示唆されており、いまだ同定されていないパートナー分子の存在が考えられます。そこでこの様な分子を同定するために、(1)酵母two-hybridシステム、(2)組換えSmad2を固相化したアフィニティー精製による結合蛋白質の同定を行います。 ②Smad2 パートナー、標的遺伝子、エピゲノムを変化させる因子とその制御機構 ES細胞とEpiS細胞において発現している遺伝子プロファイルの結果から、数多くの遺伝子に発現変動が認められています。特に、ES細胞の多能性維持に必須であるとされる転写因子群がEpiS細胞では発現が減少もしくは消失していることが明らかになっています。そこでNodal/Smad2シグナルが多能性維持を獲得することと、これら遺伝子発現の変動が直接的に関与しているか、またその変動に胚発生において重要な役割を担うWnt, BMP, Fgf/Erkシグナル経路がどの様に関与しているのかを明らかにします。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた研究計画に遅れが生じたため次年度に繰り越す研究費が生じた。しかし、当初予定していた研究計画に変更は無く、次年度では前年度に実施出来なかった研究計画に関して優先的に当該研究費を使用していく。また次年度の研究計画に関して、前年度の計画遅延の影響が最低限になるよう、可能な限り同時並行的に実施していく予定である。研究計画を実施していく上で必要な各種試薬・器具・消耗品に関しては適宜使用していく予定である。
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