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2011 年度 実施状況報告書

高等動物におけるCOPII小胞輸送システムの新機能

研究課題

研究課題/領域番号 23570239
研究機関東京薬科大学

研究代表者

谷 佳津子  東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (40266896)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード小胞体 / 小胞輸送 / ペルオキシソーム / 精子形成
研究概要

小胞体、ゴルジ体、細胞膜に局在するタンパク質や分泌タンパク質は、合成後小胞体に組み込まれ、小胞輸送によって細胞内を移動する。輸送のスタート地点である小胞体において、タンパク質はCOPII小胞に取り込まれて搬出される。近年COPII小胞輸送システムの破綻が様々な病気の原因となることが示され、高等動物における詳細の解明が待たれている。本研究では、2種の動物固有のCOPIIコート結合タンパク質(p125・Sec1B)に関して解析を行い、両者の輸送における役割を明らかとすることを目的とする。平成23年度は以下の結果を得た。1. p125の解析 p125ノックアウトマウスの細胞抽出液を用いて、p125がCOPIIコートタンパク質間の相互作用やCOPIIコートタンパク質とSec16A(酵母を含む様々な真核生物に存在するSec16ホモログ)との相互作用に与える影響を解析した。その結果、p125の欠損はCOPIIコートの内層を形成するSec23タンパク質と外層を形成するSec31タンパク質の結合を著しく弱めること、一方Sec23とSec16Aの結合には影響しないことが明らかとなった。2. Sec16Bの解析 これまでの解析より、Sec16Bは小胞体からペルオキシソームへの膜タンパク質輸送に関与することが示唆されていた。本年度はSec16Bの構造-機能相関を解析した。Sec16Bを発現抑制した細胞に変異Sec16Bタンパク質を発現させ、その効果を調べた結果、Sec16Aには存在しないSec16BのC末端側領域がペルオキシソームへの輸送には重要であることがわかった。HeLa細胞にFLAGタグを付加したSec16Bを高発現させ、免疫沈降後、共沈降してくるタンパク質を解析した。Sec16A/B、Sec13に加えて、数種類のミトコンドリアタンパク質とRafキナーゼが同定された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度予定の実験計画のうち、多くの部分を完了することができた。 p125に関しては、COPIIコートタンパク質間の相互作用をp125が調節するという仮説を、p125欠損細胞を用いて示すことができた。また、Sec16Bの解析に関しては、構造-機能相関を明らかとし、さらに新たな結合タンパク質の候補を得ることができた。今後この結合タンパク質を手がかりとして、Sec16Bの機能解析を新たな方向に展開することが可能と考える。

今後の研究の推進方策

当初の年次計画に沿って計画を推進する。 平成23年度の計画の中で、p125ノックアウトマウス精細胞の解析およびp125ノックアウトマウスの胎児繊維芽細胞を用いた解析が充分に進行できなかった。これは、作製した胎児繊維芽細胞の質に問題があったと考える。従って、今後は細胞株の樹立法を変更して解析を行う。またさらに、p125ノックアウトマウス個体の解析を多方面から進める。 Sec16Bに関しては、小胞体からペルオキシソームへのタンパク質輸送における役割の解明を焦点として、解析を進める。また、平成23年度に同定された結合タンパク質との関わりに関しても解析を進める。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度と同様に、大部分を物品費に使用する。学会参加のための旅費に一部を使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] p125/Sec23-interacting protein (Sec23ip) is required for spermiogenesis.2011

    • 著者名/発表者名
      Arimitsu, N., Kogure, T., Baba, T., Nakao, K., Hamamoto, H., Sekimizu, K., Yamamoto, A., Nakanishi, H., Taguchi, R., Tagaya, M., Tani, K.
    • 雑誌名

      FEBS LETTERS

      巻: 585 ページ: 2171~2176

    • DOI

      10.1016/j.febslet.2011.05.050

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sec16B is involved in the endoplasmic reticulum export of the peroxisomal membrane biogenesis factor peroxin 16 (Pex16) in mammalian cells.2011

    • 著者名/発表者名
      Yonekawa, S., Furuno, A., Baba, T., Fujiki, Y., Ogasawara, Y., Yamamoto, A., Tagaya, M., Tani, K.
    • 雑誌名

      PROCEEDINGS OF THE NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES OF THE UNITED STATES OF AMERICA

      巻: 108 ページ: 12746~12751

    • DOI

      10.1073/pnas.1103283108

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dual function of Sec16B: Endoplasmic reticulum-derived protein secretion and peroxisome biogenesis in mammalian cells.2011

    • 著者名/発表者名
      Tani, K., Tagaya, M., Yonekawa, S., Baba, T.
    • 雑誌名

      CELLULAR LOGISTICS

      巻: 1 ページ: 164~167

    • DOI

      10.4161/cl.1.4.18341

    • 査読あり
  • [学会発表] COPII小胞輸送におけるp125/Sec23IPの役割2011

    • 著者名/発表者名
      木榑猛, 柏木ゆり子, 川井彩花, 馬場崇, 谷佳津子
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都)
    • 年月日
      2011年9月23日
  • [学会発表] Sec16BはPex16の小胞体からペルオキソームへの輸送に関与する2011

    • 著者名/発表者名
      米川 周佑, 古野 暁子, 馬場 崇, 藤木 幸夫, 多賀谷 光男, 谷 佳津子
    • 学会等名
      第63回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      北海道大学(北海道)
    • 年月日
      2011年6月27日
  • [学会発表] Sec16B is involved in the ER export of the peroxisomal membrane proteins Pex3 and Pex16 in mammalian cells2011

    • 著者名/発表者名
      Yonekawa S, Furuno A, Baba T, Fujiki Y, Ogasawara Y, Yamamoto A, Tagaya M, Tani K.
    • 学会等名
      The American Society For Cell Biology 51st Annual Meeting
    • 発表場所
      Denver, Colorado United States
    • 年月日
      2011年12月4日
  • [備考] www.ls.toyaku.ac.jp/~cellsig/index.html

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公開日: 2013-07-10  

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