研究課題
小胞体、ゴルジ体、細胞膜に局在するタンパク質や分泌タンパク質は、合成後小胞体に組み込まれ、小胞輸送によって細胞内を移動する。輸送のスタート地点である小胞体において、タンパク質はCOPII小胞に取り込まれて搬出される。近年COPII小胞輸送システムの破綻が様々な病気の原因となることが示され、高等動物における詳細の解明が待たれている。本研究では、2種の動物固有のCOPIIコート結合タンパク質(p125・Sec16B)に関して解析を行い、両者の輸送における役割を明らかとすることを目的とする。平成25年度は以下の結果を得た。1. p125の解析COPII小胞の新たな機能として、オートファジーにおけるオートファゴソーム形成への関与が報告された。p125発現抑制のオートファゴソーム形成への影響を解析したが、特に変化は見られなかった。2. Sec16Bの解析COPII小胞形成のin vitro系を基とし、小胞体からペルオキシソーム膜タンパク質を輸送する小胞の単離を試みた。GFP-Pex16を安定発現する細胞からミクロソームを単離し、小胞形成反応を行った。小胞画分にCOPII小胞は回収されたが、GFP-Pex16を含む膜画分は回収されなかった。Pex11はペルオキシソーム膜タンパク質であり、ペルオキシソームの分裂に寄与することが報告されている。動物は3種のPex11タンパク質(α、β、γ)を持つ。GFPを付加したPex11γを安定発現するHeLa細胞を作製し、Sec16B発現抑制の影響を調べた。その結果、Pex16およびPex3の場合とは異なり、GFP-Pex11γの局在に変化は見られなかった。Sec16Bは全てのペルオキシソーム膜タンパク質の局在に等しく寄与するのでは無く、タンパク質によって異なる可能性が示唆された。
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J.Biol.Chem.
巻: 289 ページ: 11497-11511
10.1074/jbc.M113.531921