研究概要 |
酵母細胞を様々な栄養環境下で培養し、そのAtg13リン酸化状態をウエスタンブロットで検出し、細胞内のTor活性状態を評価した。さらにTorがどのような生体内分子を栄養環境情報として認識しているか、出芽酵母の変異体のスクリーニングを行った。その結果、Tor活性は、培地中の窒素源、炭素源、あるいは硫黄源環境の変動(枯渇)により大きな影響を受ける一方、リン酸や塩基(Adenine Uracil)欠乏には反応しないことが解った。さらに、アミノ酸欠乏においても、Leucine, Tryptophanなどには敏感な応答を見せるのに対し、Cysteine, Methionine, Lysineなどの欠乏はTor活性に大きな変動は見られなかった。これらの結果は、いくつかの選択されたアミノ酸が栄養環境の指標としてTorによってセンスされている可能性を示唆している。また、変異体スクリーニングの結果、アミノアシル-tRNA合成酵素遺伝子群がTor活性に重要な役割を果たしていることが解った。この結果はTorがアミノアシル-tRNAを窒素源環境として認識していることを示唆している。
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