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2012 年度 実施状況報告書

オートファジー誘導系を用いたオートファジー分子メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 23570241
研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

鎌田 芳彰  基礎生物学研究所, 多様性生物学研究室, 助教 (20291891)

キーワードシグナル伝達 / オートファジー / 細胞生物学 / 出芽酵母
研究概要

栄養環境は、炭素源、窒素源、硫黄源、リン酸など多岐にわたっていて、しかもそれぞれが細胞の成長・増殖に必須である。逆に、栄養源が枯渇すると、細胞は飢餓情報を感知し、飢餓ストレス応答を行う。飢餓ストレス応答の代表的なものとしてタンパク合成の抑制、細胞増殖の停止、オートファジーの誘導などが挙げられる。このような栄養シグナル伝達系の中枢としてTor複合体1(TORC1) が機能している。しかしながら、TORC1がどのようにして栄養環境情報を捉えているか、不明な点が多い。
今年度、Kimら、De VigillioらはLeucyl-tRNA synthetase (LeuRS, 出芽酵母CDC60)がTORC1活性をコントロールすると報告した。では、細胞はロイシン、LeuRSのみを栄養源の代表として栄養情報を感知しているのか?これについて詳細な検討を行った。
TORC1が栄養環境情報を感知するメカニズムを解析するため、①細胞をさまざまな栄養環境で培養する、②LeuRSをコードするCDC60だけでなく他のaminoacyl-tRNA synthetase (ARS)遺伝子の変異体を用いる、などして細胞内TORC1の活性化状態をモニターする実験を行った。モニター法としては2種のオートファジー関連タンパク質、①出芽酵母TORC1のキナーゼ基質、Atg13のリン酸化状態、②GFP-Atg8の液胞内での切断を用いた。
その結果、少なくとも出芽酵母では、TORC1は窒素源、炭素源、硫黄源を認識していること、LeuRS以外のARSもTORC1活性に影響を及ぼすこと、ペプチド合成初期反応(translational initiation)は関係しないこと、などが解った。これはTORC1がロイシン以外のアミノ酸も、しかもアミノ酸自身ではなく、アミノアシル-tRNAを窒素源として認識することを強く示唆する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TOR複合体1の活性化因子、つまり細胞内での栄養シグナル因子がアミノアシル-tRNAであることを強く示唆する実験結果が得られた。これは、栄養シグナル伝達の解明にとって一歩前進であると評価して良いとおもわれる。

今後の研究の推進方策

今後は、平成24年度に得られた知見をさらに推し進め、TORが栄養環境をどのようにして感知するのか、その分子メカニズムを明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The role of autophagy in genome stability through suppression of abnormal mitosis under starvation2013

    • 著者名/発表者名
      Matsui, A., Kamada, Y., Matsuura, A.
    • 雑誌名

      PLOS genetics

      巻: 9 ページ: e1003245

    • DOI

      10.1371

    • 査読あり
  • [学会発表] 栄養センサーTor複合体はどのようにして栄養環境を把握するか?

    • 著者名/発表者名
      鎌田芳彰
    • 学会等名
      第2回TOR研究会
    • 発表場所
      神戸大学(兵庫県神戸市)
  • [備考] 基礎生物学研究所ホームページ

    • URL

      http://www.nibb.ac.jp/sections/evolutionary_biology_and_biodiversity/diversity/AssisProf/kamada.html

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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