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2012 年度 実施状況報告書

発生期におけるコレステロール代謝と細胞機能の制御

研究課題

研究課題/領域番号 23570246
研究機関東北大学

研究代表者

東海林 亙  東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 准教授 (40250831)

キーワード血管形成 / ゼブラフィッシュ
研究概要

コレステロール合成経路は、細胞膜の構成成分でありステロイドホルモンの骨格材料でもあるコレステロールを産生することに加えて、中間産物から分岐した酵素反応によって、さまざまな代謝産物を生成して生命活動を支えている。私たちは前年度までの研究で、この合成系路に欠損をもつゼブラフィッシュ変異体に、器官・組織発生に多種多様な異常が引き起こされることを見いだしてきた。変異体モデルで発生異常を引き起こす原因となった代謝産物の同定と、代謝産物の標的因子、機能発現に至る分子機構を解明することによって、代謝系による生命現象の制御の実体を包括的に理解することが本研究の目標であり、これまでの遺伝子・タンパク 質を出発点とした研究とは異なる視点から発生・分化・組織の維持に関する新しいメカニズムを発見することが期待できる。
平成24年度では、主としてコレステロール代謝異常が引き起こす血管形成異常の分子メカニズムについて研究を行った。コレステロール合成経路の中間代謝物から生成されるゲラニルゲラニル基の欠乏が低分子量Gタンパク質の活性を低下させることに起因することを明らかにし、さらに低分子量Gタンパクのなかでも、細胞内小胞輸送に関与するファミリー遺伝子が血管形成に必須であることを新たに見いだした。この作用はゼブラフィッシュでは発生期の体節間血管で、マウスでは皮下に侵入する新生血管で観察された。細胞内小胞輸送システムのなかでも、特にエンドサイトーシスを担う機能タンパクのノックダウンにより同様の作用を認め、エンドサイトーシスを主体とする血管形成制御システムの存在が予測された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

血管形成に必須な代謝産物とその作用機序を明らかにすることができた。また、2種の脊椎動物モデル、ゼブラフィッシュとマウスで共通の血管制御システムの存在を新たに提唱できたことから上記の進捗状況と判断した。

今後の研究の推進方策

コレステロール合成経路欠損により引き起こされる、神経変性の分子メカニズムを解明する。これまでのモルフォリーノ・アンチセンスオリゴによるアプローチに加えて、TALEN (Transcription activator like effector nuclease)法による遺伝子編集により特定の律速反応酵素を遮断し、神経変性の原因となった代謝産物を特定する。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額は当初計画していた平成23・24年度の神経変性の研究を、震災被害のために血管形成の研究に変更したことにより生じたものであり、延期した神経変性の研究に必要な経費として、平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Targeted expression of a chimeric channelrhodopsin in zebrafish under regulation of Gal4-UAS system2013

    • 著者名/発表者名
      Umeda、K., Shoji, W., Sakai, S., Muto, A., Kawakami, K., Ishizuka, T. and Yawo, H.
    • 雑誌名

      Neurosci. Res.

      巻: 75 ページ: 69-75

    • DOI

      doi: 10.1016/j.neures.2012.08.010.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Application of Infrared Laser to the Zebrafish Vascular System: Gene Induction, Tracing, and Ablation of Single Endothelial Cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Kimura E, Deguchi T, Kamei Y, Shoji W, Yuba S, Hitomi J.
    • 雑誌名

      Arterioscler Thromb Vasc Biol.

      巻: - ページ: 掲載確定

    • 査読あり
  • [学会発表] IR-LEGO顕微鏡を用いた血管内皮細胞における1細胞レベルでの遺伝子発現系の樹立2012

    • 著者名/発表者名
      木村英二、出口友則、亀井保博、東海林亙、弓場俊輔、人見次郎
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20121211-20121214
  • [学会発表] Spatio-temporally regulated gene induction in the targeted single endothelial cells using an infrared laser2012

    • 著者名/発表者名
      Kimura. E., Deguchi, T., Kamei, Y., Shoji, W., Yuba, S., Hitomi, J.
    • 学会等名
      第20回日本血管生物医学会学術集会 / 第10回 Korea-Japan Joint Symposium on Vascular Biology
    • 発表場所
      徳島
    • 年月日
      20121205-20121207
  • [学会発表] Optogenetic analysis of fin movement2012

    • 著者名/発表者名
      Wataru Shoji
    • 学会等名
      第18回小型魚類研究会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20120922-20120923
  • [学会発表] 第83回日本動物学会年会2012

    • 著者名/発表者名
      前田美香、東海林亙
    • 学会等名
      TAG-1を介したゼブラフィッシュ一次運動神経軸索と神経冠 細胞の相互作用
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20120913-20120915
  • [備考] 東北大学加齢医学研究所ホームページ

    • URL

      http://www.idac.tohoku.ac.jp/ja/activities/research/project_programs/syoji/index.html

  • [備考] 東海林研究室独自ホームページ

    • URL

      http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/cellbio/Welcome.html

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公開日: 2014-07-24  

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