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2013 年度 実績報告書

母性局在因子PEMによる生殖細胞形成機構

研究課題

研究課題/領域番号 23570252
研究機関東北大学

研究代表者

熊野 岳  東北大学, 生命科学研究科, 教授 (80372605)

キーワード生殖系列 / 転写抑制 / 初期発生 / マボヤ / PEM / 母性局在因子
研究概要

初期胚の生殖系列では転写がグローバルに抑制されており、そのことが体細胞系列との分離に重要な役割を果たすことが知られる。本申請では、脊索動物門尾索動物亜門に属するマボヤの初期胚において、母性局在因子PEMがどのようにして生殖系列の転写を抑制するのか詳細な分子機構を明らかにすることを大きな目標の1つとして研究を行ってきた。その結果、PEMがpTEFb複合体との結合を介してRNA polymerase IIのリン酸化を抑えることで、生殖細胞系列の転写をグローバルに抑制することを明らかにした。したがって、ハエ、線虫、ホヤを含めた幅広い種でそれぞれにユニークな母性局在因子が、pTEFbを介したRNA polymerase IIのリン酸化の抑制という共通の機構で生殖細胞系列での転写を制御することが明らかになり、進化上生殖細胞系列での転写抑制機構に機能的拘束が働いていたことを示唆する重要な発見となった。この成果は、Current Biology 誌に掲載された。これらの結果をうけて最終年度は、PEMによる転写抑制がどのように解除されて、どのように胚性遺伝子発現が開始するのか、他の動物でもあまり理解されていない問題に対して理解を進めることを目的として研究を行った。その結果、発生に伴ったPEMタンパクの減少が胚性遺伝子発現開始に必要十分条件であることを示した。さらに、PEMタンパクの減少を制御すると考えられる母性局在因子ZF-1についても機能解析を行い、ZF-1のない環境では本来の胚性遺伝子開始時期には遺伝子発現が見られないことを明らかにした。以上のように、マボヤ初期胚の生殖細胞系列における転写抑制機構に関して、PEMの機能を中心に重要な知見を得ることができた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Transcription factor Tbx6 plays a central role in fate determination between mesenchyme and muscle in embryos of the ascidian, Halocynthia roretzi.2014

    • 著者名/発表者名
      Kumano, G., Negoro, N. and Nishida, H.
    • 雑誌名

      Dev. Growth and Differ.

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      doi: 10.1111/dgd.12133.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Regulation of the number of cell division rounds by tissue-specific transcription factors and Cdk inhibitor during ascidian embryogenesis.2014

    • 著者名/発表者名
      Kuwajima, M., Kumano, G. and Nishida, H.
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      doi: 10.1371/journal.pone.0090188. eCollection 2014.

    • 査読あり
  • [学会発表] マボヤ神経胚における「くびれ」形成機構の解析2014

    • 著者名/発表者名
      熊野岳
    • 学会等名
      第4回JMBIOフォーラム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-01-16
  • [学会発表] マボヤ初期胚における生殖細胞系列での転写抑制解除機構の解析2013

    • 著者名/発表者名
      宮奥香理
    • 学会等名
      第84回日本動物学会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      20130926-28
  • [学会発表] マボヤ神経胚における「くびれ」形成機構の解析2013

    • 著者名/発表者名
      熊野岳
    • 学会等名
      第84回日本動物学会、第33回ホヤの生物学談話会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      20130926-20130928
    • 招待講演
  • [学会発表] Mechanism of the “KUBIRE” formation in the neurula embryo of the ascidian, Halocynthia roretzi.2013

    • 著者名/発表者名
      Kumano, G., Zenpuku, S. and Nishida, H.
    • 学会等名
      46th Annual Meeting for the Japanese Society of Developmental Biologists (Cosponsor APDBN)
    • 発表場所
      松江
    • 年月日
      20130528-20130531
  • [図書] Taxon-specific maternal factors for germline specification. In Kondoh, H. and Kuroiwa, A. (ed) New Principles in Developmental Processes.2014

    • 著者名/発表者名
      Kumano, G.
    • 総ページ数
      321
    • 出版者
      Springer, Heidelberg.

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公開日: 2015-05-28  

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