研究課題
ツメガエルの4つのCOUP-TF関連遺伝子(COUP-TF I, COUP-TF II, Nr2f5, Nr2f6)に関して、アンチセンスモルフォリノを用いて、どの遺伝子の発現を抑制したときにどの遺伝子の発現が亢進するか調べたところ、発現を抑制したもの以外の発現が、いずれも少しずつ亢進していた。マウスではCOUP-TF IIの発現が低下するとCOUP-TF Iの発現が亢進するが、ツメガエルでは発現補完の仕組みが複数の関連遺伝子に分散していると考えられる。一方、COUP-TF IとCOUP-TF IIの間で保存されている後脳エンハンサーについて詳細な解析をおこなった。その結果、活性化を担う転写因子PbxとHoxの複合体の結合配列は、パラログ間でも種間でも保存されているが、抑制を担うCOUP-TFの結合配列は、マウスではコンセンサス配列に近いものが保存されているのに対して、ツメガエルではあまり保存されていないことがわかった。COUP-TF関連遺伝子群は、それらの産物の結合配列を介したクロストーク抑制により、お互いのエンハンサー活性を調整して発現量のバランスをとっていると考えられる。それゆえ、このようなエンハンサー配列の種差が、ツメガエルとマウスにおける発現補完制御の違いを生み出している可能性が示唆される。また昨年の実験から、脊椎動物とナメクジウオのオーソログの間で、イントロン内のエンハンサーはその配列が明瞭に保存されていなくても、エキソンに対する位置が保存されていることが示唆された。この可能性をさらに検討するため、脊椎動物でイントロンエンハンサーが同定されている眼形成遺伝子Pax6について、エキソン・イントロン構造の保存性に基づいてナメクジウオの相同エンハンサーを探索した。その結果、ツメガエルの眼で活性を示すナメクジウオの相同エンハンサーを同定することができた。
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Endocrinology
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10.1210/en.2013-2054
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