研究課題/領域番号 |
23570258
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
田中 聡 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (10321944)
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キーワード | 発生生物学 / 生殖細胞 / BMPシグナル / WNTシグナル |
研究概要 |
マウスの生殖細胞形成は、BMPシグナル及びWNTシグナルの2つの分泌因子により、原始外胚葉上端分にその前駆細胞が誘導され始まる。しかし、BMPシグナル及びWNTシグナルがどのように生殖細胞形成を誘導していくのか、その詳細な分子メカニズムについては、十分には明らかにされていない。我々は、Dullard遺伝子欠損胚とWnt3遺伝子の欠損胚を用いた遺伝学的解析より、原腸陥入後のマウス胚におけるWNTシグナルの適切な活性調節が始原生殖細胞形成に必須であることを明らかにした(Tanaka et al., 2013)。 次いで、BMPシグナルの下流で始原生殖細胞形成に働く因子の同定を、1) BMP4欠損胚で発現が減少している、2)生殖細胞に発現している、3) そのloss-of-functionにより始原生殖細胞の形成不全をおこす遺伝子として探索した。その結果、転写因子Six1/Six4を見いだした。Six1とSix4は、その単独欠損胚では始原生殖細胞は正常に形成されるが、その2重欠損胚では、形成される生殖細胞数が約半数に減少していた。その減少は、Ifitm3陽性、及びPrdm1/Blimp1陽性の前駆細胞集団形成の段階から観察された。さらに、Six1/Six4とBMP4とのconpound mutant(トリプルへテロ)でも、形成される生殖細胞数が減少したことから、Six1/Six4は、BMPシグナルの下流で始原生殖細胞形成に働く因子として考えられた。現在、Six1/Six4の生殖細胞形成における作用機序について解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス細胞塊形成を誘導する分子機構の解明、特にその形成に関わるシグナルカスケードの解析については、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
前駆細胞集団からの生殖細胞の選択の制御機構の解明については、レポーターマウス等のトランススジェニックマウスの作製をおこなった。しかし、得られたトランススジェニックマウスが、不妊となってしなったため、再度、コンスタント等に工夫を加えて、不妊とならないよう作製を試みる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画の変更等は、特になし。
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