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2012 年度 実施状況報告書

アフリカツメガエル生殖細胞質の細胞生物学的特性の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23570259
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

渡辺 憲二  兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (00079691)

キーワード生殖細胞質 / ミトコンドリア / 始原生殖細胞 / アフリカツメガエル
研究概要

ゼノパスを含む無尾両生類では、卵植物極表層に、母性mRNA、 タンパク質、大量のミトコンドリアを含む生殖細胞質(GP)が存在する。GPを分配された細胞は中期胞胚遷移(MBT)以降に始原生殖細胞(PGCs)へ分化し、PGCsは生殖巣へ移動、生殖細胞へ分化する。GPおよびGPをもつ細胞の可視化により生殖系列の研究を行ない、4本の論文としてとりまとめた。また、過剰PGC形成に必要な最小の分子構成の決定を開始した。
1. GPに存在する多量のミトコンドリアを指標にGP、PGCs、そして生殖細胞をほぼ1世代、追跡可能であること、特にMBT時に、GPの細胞膜近くから核周囲への再配置が微小管依存的であり、PGCs分化に微小管の再構成が重要であることを示した。
2. GPを動物半球(将来表皮や神経に分化する領域)に移植し、異所的にPGC分化が起きること、異所的PGCsは適切な内胚葉環境に戻されると、生殖巣に移動し、機能的な生殖細胞を作ることを示した。ゼノパスPGCs形成には、GP以外に細胞間相互作用も必要であるとの従来の説を修正し、線虫やショウジョウバエと同様にGPが生殖細胞決定因子である事を証明した。
3. GP特異的分子の一つであるDEADSouthを修飾オリゴマーによりノックダウンすると、MBP時のGPの再配置が阻害され、細胞分裂が進まなくなった。DEADSouth mRNAを注入により過剰発現させると、細胞分裂は進行するが、アポトーシスによりPGCsが減少した。PGCsが正常に発達するために、適切な量のDEADSouth mRNAが必要であることを示した。
4.移動期のPGCを単離・培養する実験系を確立し、PGCの運動性が発生段階に依存して変化することを観察した。また、PGCの運動性はRhoAシグナルに依存することを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ミトコンドリアの可視化からみえるGPの特性およびPGCの分化機構の研究は従前にない研究成果を報告するいくつかの論文として実った。

今後の研究の推進方策

当研究室での生殖系列の研究は生殖細胞質(GP)とPGC形成の関係に問題が集約してきた。また、いくつかの新しいテーマも見えてきた。Dria系統は当研究室から関連研究室へ分与され、さらに、生殖系列の細胞レベル、細胞器官レベルそして分子レベルへの研究が広がると期待される。
・PGC決定因子  Xenopus GPがPGC決定因子であることが確定した。GP内に存在する多数の分子の中からマスターとなる分子を判別できるシステムを作ることが求められる。 過剰PGC形成を起こすのに必要な最小限の分子構成を決定する。
・PGC移動の契機を与える内胚葉環境  PGCの移動期の内胚葉はPGCに対して移動を開始するシグナルをあたえる。また、移動期の後の内胚葉は移動可能なPGCの運動能を抑制する。この2つの現象を利用し、内胚葉からのシグナル、PGCの運動制御に関する分子的実態を明らかにする。
・生殖系列ミトコンドリアの動態  GPをもつ細胞の押しつぶし標本を作製し、ミトコンドリアなどが直接に観察できる系とし、さらに、中期胞胚遷移時に起こるGPの再編成に関わる分子を直接に解析できる系を構築する。

次年度の研究費の使用計画

消耗品を中心とし、成果発表のための学会参加経費、論文作成経費として使用する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Ectopic formation of primordial germ cells by transplantation of the germ plasm: direct evidence for germ cell determinant in Xenopus.2012

    • 著者名/発表者名
      Tada H, Mochii M, Orii H, Watanabe K
    • 雑誌名

      Dev Biol

      巻: 371 ページ: 86-93

    • DOI

      10.1016/j.ydbio.2012.08.014. Epub 2012 Aug 27.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Analysis of localization and reorganization of germ plasm in Xenopus transgenic line with fluorescence-labeled mitochondria.2012

    • 著者名/発表者名
      Taguchi A, Takii M, Motoishi M, Orii H, Mochii M, Watanabe K
    • 雑誌名

      Dev Growth Differ

      巻: 54 ページ: 767-776

    • DOI

      10.1111/dgd.12005.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Developmental regulation of locomotive activity in Xenopus primordial germ cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Terayama K, Kataoka K, Morichika K, Orii H, Watanabe K, Mochii M
    • 雑誌名

      Dev Growth Differ

      巻: 55 ページ: 217-228

    • DOI

      10.1111/dgd.12018. Epub 2012 Dec 20.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] DEADSouth protein localizes to germ plasm and is required for the development of primordial germ cells in Xenopus laevis2012

    • 著者名/発表者名
      Yamaguchi T, Taguchi A, Watanabe K, Orii H
    • 雑誌名

      Biology Open

      巻: 2 ページ: 191-199

    • DOI

      10.1242/bio.20123111

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cypris larvae (Cirripedia: Balanomorpha) display autofluorescence in nearly species-specific patterns.2012

    • 著者名/発表者名
      Kamiya K, Yamashita K, Yanagawa T, Kawabata T, Watanabe K
    • 雑誌名

      Zoological Science

      巻: 29 ページ: 247-253

    • DOI

      10.2108/zsj.29.000

    • 査読あり
  • [学会発表] ミトコンドリアを指標にした生殖細胞質、始原生殖細胞の解析2012

    • 著者名/発表者名
      渡辺憲二
    • 学会等名
      日本動物学会第83回大会(招待講演)
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス(大阪府)
    • 年月日
      20120913-20120915
    • 招待講演
  • [学会発表] Xenopus幼生尾部再生の開始メカニズム2012

    • 著者名/発表者名
      大杉、保地、渡辺、餅井
    • 学会等名
      日本動物学会第83回大会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス(大阪府)
    • 年月日
      20120913-20120915
  • [学会発表] Xenopus ES1 is expressed in the wound epidermis of regenerating tail and limb bud in tadpole.2012

    • 著者名/発表者名
      Yasukawa S, Yoshioka K, Tazaki A, Watanabe K, Mochii M
    • 学会等名
      第45回日本発生生物学会年会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県)
    • 年月日
      20120528-20120531

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公開日: 2014-07-24  

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