研究課題/領域番号 |
23570259
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
渡辺 憲二 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (00079691)
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キーワード | 生殖細胞質 / ミトコンドリア / 始原生殖細胞 / アフリカツメガエル |
研究概要 |
ゼノパスを含む無尾両生類では、卵植物極表層に、母性mRNA、 タンパク質、大量のミトコンドリアを含む生殖細胞質(GP)が存在する。GPを分配された細胞は中期胞胚遷移(MBT)以降に始原生殖細胞(PGCs)へ分化し、PGCsは生殖巣へ移動、生殖細胞へ分化する。GPおよびGPをもつ細胞の可視化により生殖系列の研究を行ない、4本の論文としてとりまとめた。また、過剰PGC形成に必要な最小の分子構成の決定を開始した。 1. GPに存在する多量のミトコンドリアを指標にGP、PGCs、そして生殖細胞をほぼ1世代、追跡可能であること、特にMBT時に、GPの細胞膜近くから核周囲への再配置が微小管依存的であり、PGCs分化に微小管の再構成が重要であることを示した。 2. GPを動物半球(将来表皮や神経に分化する領域)に移植し、異所的にPGC分化が起きること、異所的PGCsは適切な内胚葉環境に戻されると、生殖巣に移動し、機能的な生殖細胞を作ることを示した。ゼノパスPGCs形成には、GP以外に細胞間相互作用も必要であるとの従来の説を修正し、線虫やショウジョウバエと同様にGPが生殖細胞決定因子である事を証明した。 3. GP特異的分子の一つであるDEADSouthを修飾オリゴマーによりノックダウンすると、MBP時のGPの再配置が阻害され、細胞分裂が進まなくなった。DEADSouth mRNAを注入により過剰発現させると、細胞分裂は進行するが、アポトーシスによりPGCsが減少した。PGCsが正常に発達するために、適切な量のDEADSouth mRNAが必要であることを示した。 4.移動期のPGCを単離・培養する実験系を確立し、PGCの運動性が発生段階に依存して変化することを観察した。また、PGCの運動性はRhoAシグナルに依存することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミトコンドリアの可視化からみえるGPの特性およびPGCの分化機構の研究は従前にない研究成果を報告するいくつかの論文として実った。
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今後の研究の推進方策 |
当研究室での生殖系列の研究は生殖細胞質(GP)とPGC形成の関係に問題が集約してきた。また、いくつかの新しいテーマも見えてきた。Dria系統は当研究室から関連研究室へ分与され、さらに、生殖系列の細胞レベル、細胞器官レベルそして分子レベルへの研究が広がると期待される。 ・PGC決定因子 Xenopus GPがPGC決定因子であることが確定した。GP内に存在する多数の分子の中からマスターとなる分子を判別できるシステムを作ることが求められる。 過剰PGC形成を起こすのに必要な最小限の分子構成を決定する。 ・PGC移動の契機を与える内胚葉環境 PGCの移動期の内胚葉はPGCに対して移動を開始するシグナルをあたえる。また、移動期の後の内胚葉は移動可能なPGCの運動能を抑制する。この2つの現象を利用し、内胚葉からのシグナル、PGCの運動制御に関する分子的実態を明らかにする。 ・生殖系列ミトコンドリアの動態 GPをもつ細胞の押しつぶし標本を作製し、ミトコンドリアなどが直接に観察できる系とし、さらに、中期胞胚遷移時に起こるGPの再編成に関わる分子を直接に解析できる系を構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品を中心とし、成果発表のための学会参加経費、論文作成経費として使用する。
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