研究概要 |
25年度は、以下の研究を実施した。 1. 体節後半部のマーカーUncx4.1の遺伝子座に、Creリコンビナーゼ遺伝子をノックインするためのターゲティングベクターを7回設計し直し、ES細胞に導入するためエレクトロポレーションを行ったが、確実な相同組み替えクローンは得られなかった。その後、新しいゲノム編集ツールであるCRISPRを併用してエレクトロポレーションを行った結果、多数の相同組み替えクローンが得られた。これを用いてキメラ作製を行い、60%キメラマウスを得た。現在、生殖系列移行のため交配中である。 2. 野生型とMesp2ノックアウトマウスにおいて、硬節のマーカー遺伝子Pax1, Pax9、椎間板の分化マーカーFibromodulin, TGF-b3や関節マーカーGDF5, 軟骨分化関連遺伝子の発現を比較観察した。その結果、Mesp2ノックアウトマウスにおいても,椎体と椎間板の繰り返しパターンが形成されること、腰椎の部分では椎間板の密度が高く顕著に癒合していることがわかった。 3. 体節全体が前方化するRipply1,2 ダブルノックアウトマウスの脊椎骨についても、上記の分化マーカー等の解析を行った。その結果、Ripply1,2 ダブルノックアウトマウスにおいても、不規則な椎体と椎間板の繰り返しパターンが形成されること、腰椎の部分では椎間板がほとんど形成されないことがわかった。これらの結果から、体節の前後極性は椎体と椎間板の繰り返しパターンの形成に必須ではないことが示された。 4. Pax1の強い発現が椎間板領域にみられることから、新たにTbx18の遺伝子座にPax1遺伝子をノックインし、体節前半部でPax1を発現するマウスの作製を試みた。ノックインマウス作製は成功し、四肢のTbx18発現部位にPax1の発現がみられたが、体節前半部に異所的なPax1の発現は観察されなかった。
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