研究課題/領域番号 |
23570264
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研究機関 | (財)東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
丸山 千秋 (財)東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, 主席研究員 (00281626)
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研究分担者 |
岡戸 晴生 (財)東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, 副参事研究員 (60221842)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | RP58 / 神経細胞移動 / 大脳皮質形成 / 転写抑制因子 / Ngn2 / Rnd2 |
研究概要 |
RP58転写抑制因子は発生期の大脳皮質で強く発現し、脳形成に必須の役割をしている。構造的にはPOZドメインとzinc フィンガーを持つPOKファミリ-に属する転写抑制因子である。この因子の脳形成における機能解析を通して、脳形成時の転写制御ネットワークを解析する目的で研究を行った。RP58ノックアウトマウスは脳形成に重篤な障害を示し生直後に死亡することから脳形成に必須の因子であるが、その詳細な機能は未解明であった。今年度は神経細胞移動においてRP58が多極性細胞から双極性細胞への変換、および皮質板内の放射状移動において機能していることを見い出し、RP58が発生期大脳皮質の神経細胞移動を制御する新たな因子であることを発見した。この機能における下流標的因子は、これまで同定していたNgn2であることをノックアウトマウスを用いたレスキュー実験で示し、RP58がNgn2、およびその下流遺伝子であるRnd2の発現を制限することが重要であることを明らかにした。またRP58遺伝子のプロモーターの単離およびその発現特性をエレクトロポレーションを用いて解析し、RP58プロモーター活性は神経分化直後の多極性細胞で強く活性化することを見い出し、この結果を論文にまとめて発表した。このプロモーターを用いてRP58遺伝子の発現のタイミングでNgn2のsiRNAを発現させることで移動障害のレスキューが可能だったことから遺伝子の発現制御のタイミングが重要であることがわかり、大脳皮質形成時の転写制御ネットワークの一端を解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経細胞移動におけるRP58の必要性を実験的に確認することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
現在子宮内エレクトロポレーションにより導入したGFP陽性細胞を脳スライス培養してリアルタイムでイメージングする実験を行っている。この解析を進めることで、より詳細にRP58の有無でどのように細胞の動きや形態変化が異なるかを解析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度と同様に主に物品費と旅費に使用する。とくに24年度は国際学会に参加する予定であるので旅費の割合が前年度より上がることが予想される。
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