ヒトの脳への進化の基盤は、大脳皮質の複雑化を可能にした脳発生プログラムによるところが大きい。胚発生の過程で大脳皮質ができる際、新生ニューロンは脳の深部から表層に向かって次々に遊走し、最終目的地にたどり着くと定着して6層構造が出来上がる。この過程が障害されると層構造が乱れ、脳形成異常や、様々な脳機能障害が発症することが知られている。しかしながらこの神経細胞移動過程の詳しいメカニズムについては不明な点が多い。本研究では、RP58転写抑制因子がこの層形成過程に重要な機能を持つ新規の制御因子であることを発見し、転写制御ネットワークにおける負のフィードバック機構の存在を明らかにした。
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