研究課題/領域番号 |
23570266
|
研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
生田 哲朗 沖縄科学技術大学院大学, その他部局等, 研究員 (80584846)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
キーワード | 国際情報交流:米国、イタリア、台湾 / BAC / 遺伝子発現解析 / WISH法 / ゲノム / 新口動物 / 進化 |
研究概要 |
23年度は本研究の目的である、始原的歩帯動物におけるHox/ParaHox遺伝子群の発現、構造、機能の包括的理解へ向け、以下の研究を行った。1、ヒメギボシムシP. flava BACシークエンス:既にHox遺伝子が含まれることが分かっている2つのBACクローン、およびParaHox遺伝子が含まれることが分かっている1つのBACクローンについて、文部科学省科学研究費新学術領域研究(研究領域提案型)『生命科学系3分野支援活動』"ゲノム支援"の支援を受け、全塩基配列のシークエンス解読を行った。研究成果は米国のグループとの共著で間もなく論文投稿の予定である。2、P. flava Hox/ParaHox遺伝子発現解析:Hox遺伝子に関しては、BACシークエンスの結果得られたゲノム配列情報をもとに、WISH のプローブテンプレートを作成し、 現在台湾の研究グループと共同で解析中である。ParaHox遺伝子に関しては、台湾、イタリア、日本、米国の研究グループと共同で解析をほぼ終え、現在論文投稿へ向け準備を進めている。3、B. simodensis 遺伝子発現解析準備:既に同定されている全てのHox/ParaHox遺伝子のコード領域の塩基配列情報をもとに、WISHに使用するプローブテンプレートを作成した。台湾の研究グループと共同で解析を進めている。 以上の解析により、P. flavaにおけるHox/ParaHox遺伝子群は比較的コンパクトなクラスター構造を持つ事が分かり、脊索動物との共通祖先におけるクラスターに近い状態が保存されていると推測された。一方発現に関しては、特にParaHox遺伝子ではクラスターとのコリニアリティが希薄であることが分かった。このようなintactなクラスターでコリニアリティが見られない例は初めてであり、クラスター構造の保存機構について、新たな課題が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1、P. flava BACシークエンスを完了し、計画通りHox/ParaHox遺伝子クラスターの構造を明らかにした。2、P. flava Hox/ParaHox遺伝子発現解析を進め、ParaHox遺伝子に関しては解析を完了した。3、B. simodensis 遺伝子発現解析のための準備を順調に進めた。
|
今後の研究の推進方策 |
P. flavaではおおよそ解析が完了する見込みであり、一方現在ニッポンウミシダO. japonicaのゲノムプロジェクトが進行中であるため、24年度はまずO.japonicaのParaHox遺伝子に関する研究を集中的に進めたい。O.japonicaは24年度からナショナルバイオリソース事業から外れたため、サンプル供給が滞らないうちに(東京大学海洋基礎生物学研究推進センター(CMB)の事業として、サンプル供給は今後も継続の予定ではある)出来る限り早く解析を進めておく必要がある。そのため、クラスター構造の解析のためのBACライブラリのスクリーニングに加え、25年度の予定を前倒しして、遺伝子発現解析に向けた技術開発も平行して進めたい。23年度に一部ではあるが、既に発現解析のためのサンプルの手配を行っている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
24年度の研究費は、O.japonicaおよびシモダギボシムシB.simodensisを用いた、WISH法による遺伝子発現解析に関連する試薬(遺伝子クローニング、シグナル検出等)およびサンプルの手配(交通費、輸送費)に関連するものが中心となる予定。また、データの整理、解析に必要なアプリケーションソフトやPC等も必要になる見込みである。
|