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2012 年度 実施状況報告書

分子遺伝学的手法による雄性発生シジミの起源と核ゲノムクローン性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23570270
研究機関三重大学

研究代表者

古丸 明  三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10293804)

研究分担者 河村 功一  三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (80372035)
キーワード雄性発生 / 雌雄同体 / Corbicula
研究概要

昨年度分析した核遺伝子は重複遺伝子群であり、協調進化という、特殊な進化をすることが明らかになっている。そこで今年度はマイクロサテライト遺伝子(以下MS)の分析系をたちあげ、系統間の遺伝解析を行った。マイクロサテライト7座の分析を加えて行った研究結果の概要は以下の通りである。1)雄と雌雄同体では、アリルサイズが異なり、貝殻外観は酷似するがMS解析結果から全く異なる系統であることが明らかになった。2)MSの解析結果から遺伝的に異なる2系統の雄が見いだされた。雄と雌雄同体という組あわせは動物界においては極めてまれなAndrodioeciousである可能性が高いことが明らかになった。
3)採集地点によっては雄、あるいは同体において、MS7座が完全に一致しているが、ミトコンドリアは全く異なるクレードに属する個体が検出された。この結果は、雄性発生によって、核の完全置換、すなわち、卵のミトコンドリアは親由来であるが、核は雄個体、あるいは他の雌雄同体個体の放出した精子核による置換がしばしば起こっていることを支持する結果となった。4)MS7座の解析結果、完全に遺伝子型が一致している個体が雄型、雌雄同体において認められた。しかもlocusによってはヘテロ接合の状態で完全に固定しており、この結果は、雄性発生シジミが、配偶子形成時の減数分裂において、recombinationをしておらず、クローナルな発生をしていることを強く示唆している。本年度の解析結果、雄性発生はクローン集団を構成していることも明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度解析した重複遺伝子28S rDNAに加えて,マイクロサテライト解析を行うことができた。PCR増幅がうまくいかない個体、PCR増幅に成功してもシークエンスピークが複数出て、アリルのサイズを正確に読み取ることが困難な個体等があり、PCR条件の検討や分析をやり直す必要、さらに特定のローカスがでnulle alleleが生じ、分析の効率性に若干の問題があった。
増幅時のPCR条件等の変更を行って効率を上げる必要がある。
しかし、今年度はマイクロサテライト解析で雄性発生集団の核ゲノムの均一性(クローン性)を示すことができた。雌雄同体については今回採集を行った2地点において複数のクローン系統から構成されていることが明らかになった。また、雄において複数の系統が検出され、雄が普遍的に存在している可能性が高いことも明らかになった。また雄においてもクローンと思われる個体が多数確認され、順調に業績が上がっていると判断する。

今後の研究の推進方策

本年度に中国の雌雄同体個体と雌雄異体個体が同所的に分布している地点を見いだすことができ、 DNA抽出、解析、倍数性の判定を一部実施した。これらの個体についてミトコンドリアDNA解析は終了し、ハプロタイプを共有していることを明らかにした。今後は核のマイクロサテライトを分析し、雄性発生の起源について明らかにする予定である。もし、ミトコンドリア遺伝子、核遺伝子(MS)も同体、異体個体において共有されていれば、異体から同体が派生していることを証明することができる。また、国内の雄型が生息している地点においては、雄の繁殖が成功しているかどうか追跡調査を実施する予定である。

次年度の研究費の使用計画

昨年度、分析が可能なマイクロサテライトの座の数が、想定よりも少なかったため、その分、試薬等の使用額が予定よりも少なかった。新年度はその分、検体数を増やし、また分析する座の数を増やして解析を行う予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] The relationship between two androgenetic clam species, Corbicula leana and Corbicula fluminea, inferred from mitochondrial cytochrome b and nuclear 28S rRNA markers2013

    • 著者名/発表者名
      Akira Komaru, Mitsuya Yamada, Shouji Houki
    • 雑誌名

      Zoological Science

      巻: 30-5 ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 28S rDNA haplotypes of males are distinct from those of androgenetic hermaphrodites in the clam Corbicula leana2012

    • 著者名/発表者名
      Akira Komaru, Shoji Houki, Mitsuya Yamada, Takuya Miyake, Mayu Obata, Kouichi Kawamura
    • 雑誌名

      Development genes and evollution

      巻: 222 ページ: 181-187

    • DOI

      10.1007/s00427-012-0395-7

    • 査読あり
  • [学会発表] 雌雄同体シジミの雄性発生

    • 著者名/発表者名
      古丸明
    • 学会等名
      日本水産学会
    • 発表場所
      東京海洋大
  • [学会発表] 雄性発生シジミの話

    • 著者名/発表者名
      古丸明
    • 学会等名
      日本動物学会(シンポジウム)
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス
    • 招待講演
  • [学会発表] Origin and possible role of males in hermaphroditic androgenetic Corbicula clams

    • 著者名/発表者名
      A. Komaru
    • 学会等名
      International symposium of genetics in Aquaculture
    • 発表場所
      Auburn University, Alabama, USA

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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