研究課題/領域番号 |
23570272
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木野内 忠稔 京都大学, 原子炉実験所, 講師 (90301457)
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キーワード | D-アミノ酸 / プロテアーゼ / ラセミ化 / アフリカツメガエル / ウニ / 発生 / ミトコンドリア / 受精 |
研究概要 |
研究代表者は、ラセミ化したアスパラギン酸残基(D-Asp)を含むタンパク質に対する特異的な分解酵素を哺乳類から発見し、これをD-Aspartyl Endopeptidase: DAEPと名付け、その生理機能、構造等の解明に取り組んできた。これまで考えられてきたDAEPの生理的な位置づけは、加齢によって不意に生じたD-Asp含有タンパク質が有害に作用する前にこれを認識・排除する品質管理システムであったが、アフリカツメガエルの生殖巣から非常に高いDAEP様活性が検出されたことにより、その合目的性を再考するに至った。卵巣や未受精成熟卵におけるDAEP様活性は魚類やウニでも検出されたことから、原始的なDAEPの生理機能は、受精や初期発生に関わるものと推測している。そこで、これら水生動物のDAEPを精製し、その機能について哺乳類DAEPと比較検討したところ、阻害剤に対する感受性や基質特異性が非常に良く似ていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、主としてアフリカツメガエルとウニよりDAEPを精製し、その機能について調べることができたので。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、今年度はアフリカツメガエルとウニよりDAEPを精製し、その機能について調べることができた。しかしながら、それらの構造を明らかにすることはできなかった。その一番の理由は、精製収率が非常に低かったからである。水生動物のDAEPも哺乳類DAEPと同様にミトコンドリア内膜に局在する膜結合型の高分子複合体であり、初期の試料調製で行うミトコンドリア内膜からの可溶化が、収率のボトルネックとなっている。したがって、今後はDAEP活性を落とさずに、より収率を上げるための界面活性剤の選定や精製ステップの再考を行い、水生動物DAEPの構造を明らかにするために十分な量のDAEPを確保したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
水生動物DAEPの精製法を確立するため、ウニ等の生物材料の調達費、界面活性剤やタンパク質精製用のカラム・担体の購入費が主になると考えている。また、アフィニティー精製のための基質ホモログリガンド、すなわちD-Aspを含むポリペプチドの合成を想定している。
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