研究課題/領域番号 |
23570275
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
野見山 尚之 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 講師 (00156225)
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キーワード | ケモカイン / 遺伝子進化 / アカゲザル / タンパク質発現 / 翻訳 / タンパク質発現抑制 |
研究概要 |
カニクイザル特異的ケモカイン遺伝子CXCL1Lは、mRNAは発現されるが、タンパク質はほとんど発現されない.そのタンパク質発現抑制にはCXCL1L遺伝子の第4エクソンが関与していることが明らかとなっている.その抑制機構を明らかにするために、昨年度に引き続き実験を行った. (A) 昨年度、CXCL1L遺伝子とは関係のないルシフェラーゼ遺伝子の3’端に第4エクソンを結合させると、タンパク質発現が抑制されることを観察している.また以前にCXCL1L遺伝子を細胞にトランスフェクションして細胞抽出液を調製し、しょ糖密度勾配遠心によりポリソーム解析を行ったが、mRNAの長さが短かったためか明確な結果は得られなかった.そこで、ルシフェラーゼ遺伝子に第4エクソンを結合させたコンストラクトを細胞にトランスフェクションし、ポリソーム解析を行った.その結果、明らかにmRNA一分子当たりのリボソーム結合数の減少が観察された. (B) 以前CXCL1Lを用いた欠失ミュータントを作成し、ウエスタンを用いて解析している.ルシフェラーゼ遺伝子を用いたポリソーム解析がうまくいったので、第4エクソン配列のどの領域が抑制しているのかをポリソーム解析を用いて調べ、ウエスタン解析結果と比較するために、様々な欠失ミュータントを作成した. (c) カニクイザルと同様、同じマカク属に属するアカゲザルもCXCL1L遺伝子を持っている.このサルの遺伝子の第4エクソン配列と同じ配列になるようにカニクイザルのCXCL1L遺伝子の第4エクソン配列を改変し、トランスフェクション後ウエスタンで解析した.その結果、カニクイザルの第4エクソンも翻訳抑制作用を持っていた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
翻訳抑制に関わる第4エクソン配列中の領域の同定は欠失ミュータントの作成段階で、実際のトランスフェクションおよびその後のウエスタンあるいはポリソーム解析はまだ行っていない. その他の解析についてはほぼ順調に進行している.
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今後の研究の推進方策 |
作成した様々な欠失ミュータントを用いて細胞にトランスフェクションし、ポリソーム解析やウエスタン解析によって翻訳抑制に関わる領域を同定する.その結果と、これまでの様々な解析結果とを総合して、考察を加える.
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次年度の研究費の使用計画 |
結果を学会や論文として発表するために、パソコンを一台購入する予定である.また、細胞培養用培地や、RNAおよびDNA調製試薬、ノーザンおよびウエスタン用のフィルターや抗体等試薬、ポリソーム解析用のしょ糖や超遠心機用チューブ等を購入する.
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