研究課題/領域番号 |
23570284
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
近藤 信太郎 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (60186848)
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研究分担者 |
内藤 宗孝 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (20167539)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 下顎骨 / 霊長類 / 下顎隆起 / 下顎窩 |
研究概要 |
霊長類の下顎骨外側面にみられる骨隆起および凹みの存在を明らかにする目的で,数種の下顎骨を肉眼的に観察した。また,隆起あるいは凹みの見られた個体についてはCT撮影を行ない,骨の内部構造を検討した。観察した種と個体数は以下の通りである。すべて成獣のみを観察した。ニホンザル261個体,タイワンザル29個体,アカゲザル95個体,カニクイザル109個体,ブタオザル34個体,サバンナモンキー61個体,マントヒヒ22個体,ゲラダヒヒ1個体,マンドリル1個体。骨隆起はニホンザル,タイワンザル,アカゲザル,カニクイザル,ブタオザル,サバンナモンキーに認められた。隆起の発達程度は肉眼的に明確に認められるものから触診のみによって存在が確認できるものまで様々であった。触診によって確認できたものも含めた出現頻度は1.6~20.0%であった。タイワンザルを除く種では凹みが認められる個体も見られ,凹みの発達程度も様々であったが,ほとんどが肉眼的に確認でき,その頻度は8.2~41.2%であった。マントヒヒではすべての個体で凹みが認められた。また,1個体しか観察できなかったが,ゲラダヒヒ,マンドリルでも凹みが見られた。隆起も凹みも出現する位置は小臼歯から大臼歯の周辺であった。隆起の大きさは様々で,形も個体によって違いがあったが,種間の系統的な違いが認められるかについては十分検討できておらず,今後の課題である。CT画像による観察から隆起部分は緻密骨であった。凹みの部分は必ずしも骨が薄くなっているわけではなく,全体が凹んでいるように見えた。今後は加齢変化,性差について検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教授の定年により講座の教員が1名減り,教育負担が増えたため,研究時間が十分に確保できなかった。このため,当初の予定より研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
教育負担は昨年度と同程度なので,夏季休暇を利用して京都大学霊長類研究所に出張し,研究分担者の所属する愛知学院大学でCT撮影を行う予定である。両研究機関の研究者と連携して,効率的に撮影を行うよう努力する。撮影したCT画像は所属機関に戻ってから解析できるので,撮影を短期間で終わらせことが必要と思われる。また,今年度より分担者を1名増員したので解析を分担して行うことにより昨年度の遅れを取り戻す予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査対象となる種を絞り込み,個体数を増やすことを主目的として研究を継続していく。加齢変化と性差については,標本数の多い種(ニホンザルとアカゲザル)について重点的に調査を行う。調査肉眼観察とCT撮影を並行して行う。肉眼観察では調査用紙への記載とともにデジタルカメラで標本を撮影して記録を残す予定である。CT画像の保管・分析にはパソコン用品や解析のためのソフト等の消耗品が必要である。昨年度までは京都大学霊長類研究所に出張するのに旅費が不要であったが,今年度から日本大学松戸歯学部に所属が変わったため,調査旅費が必要となる。
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