研究課題/領域番号 |
23570289
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岡田 明 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (30158810)
|
研究分担者 |
渡部 嗣道 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (90314822)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 体性感覚 / 操作方向 / ヒューマンインタフェース / 操作パフォーマンス / 触感 |
研究概要 |
この研究は,体性感覚や方向認知の特性を操作系へ適切に反映させることにより,安全で操作しやすいヒューマンインタフェースの構築を目指すものである.そのため2つのサブテーマ,すなわち1)身体を基準とする操作方向-出力イメージの認知的適合性に関する操作タスク実験と脳内活性化部位の変化に関する生理学的検討,および2)手ごたえ・触感が操作パフォーマンスや心理に与える影響に関する実験から構成される.このうち,1)については左右の回転操作を行うノブを操作具とする実験装置を試作し,自己中心の左右と客観的な左右の回転タスクを利き手と非利き手で行う際のパフォーマンスについて検討した.その結果,非利き手は2つの方向における成績に有意な差異が見られたが,利き手は操作方向を変えても成績の差は見られず,手の局所座標系に基づく方向認知をしていることが推測された.次に2)については,まずボタンを押す際のクリック感を対象としたタスク実験を試みた.ただし,微妙なクリック感の条件を機械的に製作するのは極めて困難であることから,ここでは触力覚提示装置(PHANTOM)とパソコン画面上に描かれた仮想ボタンによるバーチャルリアリティシステムを開発し,実験を行った.予備実験より,クリック感を与える因子として,クリックが始まるまでの押し込み量,クリックの反力,反力の抜け具合の3つがあることを確認し,それらを変化させた評価実験を行った.その結果,上記因子におけるわかりやすさ,押しやすさの最適な条件を定量的に明らかにした.また,5種類の生活素材の触感について,生理的・心理的反応に及ぼす気温の影響の調査を実験的に行った.生理反応の評価にはNIRSを使用し,各素材についての快適感と温冷感との関係を評価した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サブテーマ1:装置の試作とそれに基づくパフォーマンス実験は「9.研究実績の概要」に記載のとおりほぼ順調に進展している.回転操作におけるパフォーマンス評価では,利き手と非利き手の方向認知の明確な差異が観察され,手の局所座標系の考え方を導入した新たな研究の方向性を得ることができた.ただし,脳内活性化部位との対応については実験計画に追加の検討が必要となったため,当初の予定よりやや遅れている.サブテーマ2:手ごたえフィードバックに関する実験は触力覚提示装置の設定が順調に進んでいるため,「9.研究実績の概要」に記載のとおり順調もしくは予定より早く進展している.また,触感と生理的・心理的反応についても予定通り進行している.
|
今後の研究の推進方策 |
「11.現在までの達成度」にも記載している脳内活性化部位との対応について,fMRIまたはNIRSによる検討を進めるための検討を早急に行う.これまでの研究で実施してきたfMRIおよびNIRSでの実験結果を再確認し,まず再開しやすい方法から試行していく予定である.また,その他の実験項目については予定どおりの内容と進度で進めていくが,特に触力覚提示装置を用いた体性感覚フィードバック実験の内容を重点的に広げていく方針である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費のうち,相対的に額の多い「その他」項目は,実験用ソフト開発およびfMRIまたはNIRSの使用料等に充てる予定である.特に触力覚提示装置をコントロールするソフトはまだ十分完備されていないため,重点的に予算を執行していく予定である.また「人件費・謝金」については実験の被験者および実験補助者の謝金等に充てる.その他,物品費については主として実験に要する消耗品類,そして旅費については成果の学会発表出張費等に充てる予定である.
|