研究課題/領域番号 |
23580003
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
岡崎 桂一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20270936)
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キーワード | 遺伝分析 / 根こぶ病 |
研究概要 |
本研究では,以前の我々の研究で同定した,キャベツの抵抗性品種の根こぶ病抵抗性遺伝子(PbBoAnju1)の単離を目指している。研究の実施計画として,2本の柱がある。ひとつは,1)PbBoAnju1の位置を絞り込むために,抵抗性親と罹病性親由来のF2個体において,PbBoAnju1抵抗性遺伝子領域に染色体組み換えをもつ個体の選抜である。もうひとつは,2)BACライブラリーおよびコスミドラ イブラリーを作成し,1)の結果に基づき,抵抗性遺伝子の候補を絞り込む作業である。2)の小課題では23年度に,PbBoAnju1を含むと思われているBACを単離しシークエンス解析を実施中であったが,本年度もそれを継続中である。コスミドライブラリーのスクリーニングでは,PbBoAnju1を含むと思われているコスミドプールを同定して,このプールよりさらに選抜中である。 1)の根こぶ病抵抗性遺伝子の位置の絞り込みについては,23年度にPbBoAnju1の座上推定領域に染色体組み換えをもつ20個体を選抜したが,本年度はこれに加えさらに組み換え個体を選抜した。さらに,後代検定で組み換え個体の抵抗性/罹病性を判定するための自殖種子(次世代)を育成した。この際,PbBoAnju1の抵抗性効果が,この遺伝子以外のマイナー根こぶ抵抗性遺伝子の有無で大きく変化することが本年度判明した。このため,組み換え個体の選抜には,各組み換え個体のマイナー根こぶ抵抗性遺伝子を揃えるように選抜した。 今後,それぞれの染色体組み換え個体における抵抗性/罹病性を判定と抵抗性遺伝子PbBoAnju1の有無の関係を調査しPbBoAnju1の座上領域を絞り込む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)の根こぶ病抵抗性遺伝子の位置の絞り込みに関しては,23年度に選抜したPbBoAnju1座上推定領域の組み換え体から得られた自殖系統の接種試験を行い,各系統が保持する組み換え領域と罹病度の関係 を照合し,候補遺伝子が座乗する領域を絞り込む予定であったが,PbBoAnju1の抵抗性効果が,この遺伝子以外のマイナー根こぶ抵抗性遺伝子で大きく変化することが本年度判明し,組み換え個体の選抜には,各組み換え個体のマイナー根こぶ抵抗性遺伝子を揃える必要が生じ,組み換え個体の再選抜を実施した。,このため,この小課題の実施が遅れた。2)のBACおよびコスミドの単離とシークエンス解析について昨年度に続き,本年度もそれを継続中であるが,遺伝子の単離に向けてはまだ至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
1)の根こぶ病抵抗性遺伝子(PbBoAnju1)の位置の絞り込みについては,23年度に加え,本年度はさらに組み換え個体を選抜した。また,後代検定で組み換え個体の抵抗性/罹病性を判定するための自殖種子(次世代)を育成したので,育成した次世代種子を播種し,接種試験を行い,各系統が保持する組み換え領域と罹病度の関係 を照合し,候補遺伝子が座乗する領域を絞り込むことを予定している。これと同時に,これまでの計画にはなかったが,抵抗性系統に突然変異処理しPbBoAnju1遺伝子の破壊系統を育成する予定である。2)のBACおよびコスミドの単離とシークエンス解析について昨年度に続き,本年度もそれを継続予定である。 根こぶ病抵抗性遺伝子(PbBoAnju1)近傍に染色体組み換えがある系統や抵抗性遺伝子の破壊系統において,コスミドクローンから得られた塩基配列情報をもとに変異系統の変異箇所を,ファインマップ解析で同定するほか,PCRで増幅解析する。この解析と変異系統の抵抗性/罹病性を関係性を調査し,候補遺伝子を同定することを試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
得られた組み換え個体の接種試験を行うための,研究試薬や資材,各個体が根こぶ抵抗性領域を持つかどうかを判定するPCRによるDNA多型検出試薬等の消耗品購入費のほか,BACクローンやコスミドクローンのDNAシークエンスを決定するための試薬やシークエンス 委託費に研究費を使用する。
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