研究課題/領域番号 |
23580006
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
石井 尊生 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20260648)
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キーワード | イネ / 栽培化 |
研究概要 |
本研究では、イネの栽培化に関連した形質にどのような遺伝子が関与したのかを検証することを目的としている。そこで、栽培化関連形質遺伝子座における野生種および栽培種の対立遺伝子の作用を調査するため、以下の4つの戻し交雑自殖集団を研究材料とし、調査および解析を行った。 Npb-W集団(供与親Oryza sativa Nipponbare、反復親O. rufipogon W630):圃場に144個体からなるBC2F9集団を展開し、回収した成熟種子を用いて休眠性についての調査を行った。なお、野生イネは強度の種子休眠性を持つため、種子は成熟後6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月の3処理区を設け、経時的な種子休眠性を調査し、それぞれについてQTL解析を行った。 IR-W集団(供与親O. sativa IR36、反復親O. rufipogon W630):圃場に150個体からなるBC2F7集団を展開し、出穂期、稈長、穂長、穂の開帳性、株の開帳性、葉鞘の色、芒の色、種子長、種子幅、芒の長さ、種皮色の11形質の調査を行った。また、各個体よりDNAも抽出した。 W-Npb集団(供与親O. rufipogon W630、反復親O. sativa Nipponbare):163個体からなるBC2F10集団を圃場に展開し、回収した成熟種子を用いて休眠性についての調査を行った。なお休眠性の評価は、栽培イネがほぼ発芽する出穂50日後の成熟種子を用いて行い、QTL解析を行った。 W-IR集団(供与親O. rufipogon W630、反復親O. sativa IR36):172個体からなるBC2F9集団を圃場に展開し、稈長、穂長、穂数、種子100粒重、籾長、籾幅、玄米長、玄米幅、穂型、有芒性、種子脱粒性、出穂期の11形質を調査した。また、各個体よりDNAも抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圃場にそれぞれ約150個体からなる4つの集団を展開したが、台風等の被害がなかったため、予定通りの形質調査が行えた。DNA抽出ならびに分子マーカー座の遺伝子型を決定するシステムができあがっているので、各集団についての調査が効率よく行えた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の構成は、世代更新、マーカー型決定、形質調査、QTL解析、考察の5つからなっている。これらをそれぞれ4つの戻し交雑自殖集団(Npb-W、IR-W、W-Npb、W-IR)について行う予定である。現在、Npb-W集団とW-Npb集団の形質調査とQTL解析がほぼ終了しており、IR-WとW-IRの2集団が来年度これらを追う形となっている。そのため、先行2集団の形質調査とQTL解析の際に見つかった問題点などを整理し、後続の2集団の同じ解析がスムーズに行えるようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、IR-WとW-IRの2集団の植物体から抽出したDNAを用いて、分子マーカー座の遺伝子型の決定を行うことが多くなるので、電気泳動関連の物品を購入する。ただし、消耗品費の多くはDNA抽出とDNA増幅に関する試薬やチューブなどの購入に用いる予定である。また、年度末までに結果がある程度まとまれば、学会発表のための旅費や論文投稿料などに使用する予定である。
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