研究概要 |
(1) ウンカ・ヨコバイ類に対する抵抗性遺伝子に関するNIL群の交雑と世代促進によるPYL群の育成, ならびに, (2)抵抗性遺伝子選抜用DNAマーカーのデザイン化を推進する. 次に (3)育成されたPYL群におけるウンカ増殖抑制効果の検証を通して, 3種のウンカ類に対する複合抵抗性イネ系統を開発する. 平成23年度は以下の成果を収めた. まず, 1. ウンカ・ヨコバイ類抵抗性NIL群間の交雑と世代促進 (安井): ウンカ類に対する耐虫性を保有するNILとヨコバイ抵抗性NILについて, NIL間の交雑を実施した。得られた雑種F1植物を世代促進した. つぎに, 2. ウンカ・ヨコバイ類抵抗性遺伝子のマーカーデザイン化(安井): OVC, BPH25, BPH26, GRH2, GRH4に関して, 遺伝子マッピングの結果に基づいて抵抗性遺伝子座近傍のDNAマーカーを開発した. さらに, 3. ウンカ類に対する耐虫性評価と複合抵抗性系統の開発(安井・松村):海外共同研究者 (Dinh Van Thanh, PPRI, Vietnam)の協力のもとに, BPH25, BPH26に関する国際判別NIL群を供試して, アジア地域3昆虫個体群:日本採集BPH個体群(採集年: 1966, 1989, 1999, 2010), 北部ベトナムBPH個体群 (ベトナム紅河デルタ-現地試験-),フィリピン採集BPH個体群の加害性をモニタリングした.
|
今後の研究の推進方策 |
(1)ウンカ・ヨコバイ類抵抗性NIL群間の交雑と世代促進を推進するとともに, (2)ウンカ・ヨコバイ類抵抗性遺伝子のDNAマーカー選抜よる耐虫性遺伝子集積を実施する. 加えて耐虫性のみならず, 昆虫媒介性ウイルス病に対する抵抗性の付与を試行する. 合わせて,日本に飛来するトビイロウンカの越冬地(北部ベトナム)におけるウンカ加害性について現地モニタリングを実施する.
|