研究概要 |
日印両水稲品種をそれぞれ遺伝的背景とするウンカ類に対する複合抵抗性イネ系統の開発をおこなう.すなわち, (1) ウンカ・ヨコバイ類に対する抵抗性遺伝子に関するNIL群の交雑と世代促進によるPYL群の育成 (安井), ならびに, (2)抵抗性遺伝子選抜用DNAマーカーのデザイン化 (安井)を推進する. 次に, (3)育成されたPYL群におけるウンカ増殖抑制効果の検証を通して, 3種のウンカ類に 対する複合抵抗性イネ系統を開発する(安井・松村). 平成24年度は以下の成果を収めた. まず,ウンカ類に対する耐虫性を保有するNILとヨコバイ抵抗性NILについて, NIL間の交雑F1植物に戻し交雑を行い, B2F1世代の世代促進を実施した. つぎに,開発されたOVC, BPH25, BPH26, GRH2, GRH4抵抗性遺伝子座近傍のDNAマーカーを利用したマーカー選抜により,抵抗性遺伝子を保有する系統を選抜した. 一方、海外共同研究者 (Dinh Van Thanh, PPRI, Vietnam)の協力のもとに, BPH25, BPH26に関する国際判別NIL群を供試して, 日本に飛来するウンカ類の越冬地である北部ベトナムBPH個体群 (ベトナム紅河デルタ-現地試験-)の抵抗性遺伝子加害性をモニタリングした.その結果,トビイロウンカ抵抗性遺伝子BPH26は、北部ベトナムBPH個体群に対する抵抗性を消失していた.そこで, BPH26に対するトビイロウンカの加害性の遺伝的要因を解明するために,トビイロウンカ遺伝地図の構築に協力し, BPH26に対するトビイロウンカの加害性因子のウンカゲノム上の位置を推測した.
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