研究課題/領域番号 |
23580014
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研究機関 | 岡山県農林水産総合センター生物科学研究所 |
研究代表者 |
小田 賢司 岡山県農林水産総合センター生物科学研究所, その他部局等, その他 (10344409)
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キーワード | イネFOXシロイヌナズナ / アントシアニン / F-boxタンパク質 / カルコン合成酵素 |
研究概要 |
大規模に作成したイネの完全長cDNA過剰発現シロイヌナズナ(イネFOXシロイヌナズナ)の一つであるアントシアニン抑制変異体R10933に着目し、解析を行っている。挿入されているイネF-box遺伝子の過剰発現がフラボノイドを抑制することが明らかになっており、同遺伝子の作用機構を解析している。酵母2-ハイブリッド法およびin vitro pull-down法によりカルコン合成酵素(CHS)との相互作用が検出されたことから、CHSのユビキチン化の検出を試みた。しかし、プロテアソーム阻害剤投与後に回収した幼苗由来のタンパク質に対し抗CHS抗体を用いたウエスタンハイブリッドを行ったものの、ユビキチン化されたと想定されるサイズにシグナルは検出できなかった。そこで、さらに鋭敏な検出を行うため、免疫沈降させたCHSタンパク質に対して抗ユビキチン抗体を用いてウエスタンを行うこととした。しかしながら、現在入手可能な抗CHS抗体では免疫沈降ができなかった。そこで、タグ(GFP)付きCHS遺伝子を発現する形質転換シロイヌナズナを作成した。今後、抗GFP抗体を用いて免疫沈降を行う予定である。一方、幼苗ではF-box遺伝子の働きが弱い可能性も考えられることから、環境条件の変動によるCHSタンパク質の量的変化を調べたところ、強光・低温・高ショ糖ストレス下で増加し、通常条件に戻すと減少することが確かめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H24年度は、主に、F-box遺伝子の作用機構の解明に取り組んだ。しかし、抗CHS抗体が免疫沈降に機能せず、タグ付きCHS発現形質転換体を作成することになったため、実験が回り道をすることになった。しかし、すでに形質転換体の作成は終了している。また、F-boxが機能すると予想される環境条件を同定したので、今後、この情報も利用しながら早急に研究を進展させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、研究の最終年度に当たるため、未解明の事項の全てを推進する。特に、F-boxの作用機構については、H24年度からの未解決の課題があり、優先的に進めていく予定である。シロイヌナズナF-box遺伝子の生理機能解析については、機能すると予想される環境条件を見出しており、遺伝子の発現解析や現在作成中の抗体を用いたタンパク質量の解析を進める予定であり、本年度中に研究を取りまとめたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度は、CHSタンパク質のユビキチン化の検出や、シロイヌナズナF-box遺伝子の機能解析などに必要な分子生物学実験キット類、試薬類、試薬調整に必要な物品の購入に使用する。実験に使用していたインキュベータが故障し、修理不能で昨年度破棄したため、新規に購入する計画である。
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