研究課題/領域番号 |
23580026
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
小林 浩幸 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター環境保全型農業研究領域, 上席研究員 (70355329)
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研究分担者 |
内田 智子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター環境保全型農業研究領域, 主任研究員 (70531854)
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キーワード | 種子 / 雑草 / 3次元形状 / ヒユ科 / 実体顕微鏡 |
研究概要 |
埋土種子の形態だけから草種を同定することを目的として,一般的な実体顕微鏡と写真撮影装置を活用して雑草種子の3次元形状を観察・計測する簡便・確実な手法を検討した。対象は,微細で近縁草種間の区別が困難なヒユ科雑草(ホソアオゲイトウ,アオゲイトウ,イガホビユ,イヌビユ,ホナガイヌビユ,シロザ)とした。3次元画像は焦点が異なる複数枚の写真の合成により得たが,対象草種の一部では安定した画像を合成できなかったので,様々な撮影条件を試行して最善の方法を探索した。得られた3次元画像から複数の3次元形状データを得,それらが上述の6草種の判別に使用できるかどうか検討した。 種皮に胞が残存しやすいシロザ,微細な突起があって光沢が減じられるホナガイヌビユは直上から撮影した10~15枚程度の画像(フォーカスのピッチ50μm程度)を合成することで3次元画像が容易に得られ,様々な部位のサイズや角度などのデータを取得できた。一方,ホソアオゲイトウ,アオゲイトウ,イガホビユは果皮が漆黒で光沢が強いため露出をどのように調整しても白飛びまたは黒つぶれが生じ,形態情報に欠損が生じた。そこで,様々な光源やフィルターを使用して試行錯誤的に最適条件を探索し,現時点の写真撮影装置の性能では LEDの落射照明に散乱板を付加するのが適当であることがわかった。 画像から取得した3次元形状データはホナガイヌビユでは変異が少なく,他草種との判別が可能と判断された。しかし,ホソアオゲイトウ,アオゲイトウ,イガホビユでは草種毎の特性は認められるものの種内の変異が大きく,他草種との変異の重なりが無視できないため,個体毎の判別は困難と考えられた。種内の大きな変異は草種の特性ではなく,3次元画像取得に伴う誤差に起因する可能性がある。これらの草種では,より正確な3次元画像の取得が正確な同定につながると推察された。
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