研究課題/領域番号 |
23580032
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
木下 剛 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (30282453)
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研究分担者 |
YE 京禄 千葉大学, 園芸学研究科, 講師 (10450347)
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キーワード | グリーンスペース / グリーンインフラストラクチャー / オープンスペース / 持続可能性 / 地域再生 / 緑地制度 / 緑地計画 / 英国 |
研究概要 |
1.グリーンインフラストラクチャー(GI)に関する計画・事業の現地調査 ディベロップメントプランにおけるGIの位置づけや事業化例について、英国マージーサイド州リバプール市役所都市計画部担当官に聞き取り調査を行い、事業現場を踏査した。また、リバプール市のGI政策の基礎をなすリバプールGI戦略の意図や計画手法について、同戦略を立案したマージーフォレスト機構(英国チェ州ウォリントン町)の担当官に聞き取り調査を行った。 2.グリーンスペース(GS)およびGIの概念規定 GIに関する上述の調査結果をふまえ、GS/GIの概念および計画手法・事業手法について比較検討し、GSとGIの関係および相違点について明らかにした。具体的には、利用機能/存在機能、都市施設計画/土地利用計画、公的事業/民間事業という3つの分析の枠組みを設定し、リバプール市におけるGS/GIの概念、計画手法および事業手法について比較検証した。また、リバプール市のGI政策について、地区スケールの都市計画(戦略的再生枠組み)における位置づけ、都市圏スケールのGI戦略との関係、国のコミュニティフォレスト政策との関係等について把握した。 3.日本の公園緑地制度・政策に示唆する点の予備的考察 都市基盤(インフラストラクチャー)としての公園緑地の計画手法、都市計画(ただし土地利用計画)上の位置づけ、民間投資・民間事業の役割、都市再生・投資計画上の位置づけ、他政策との関係等々の視点より、英国リバプール市のGS/GI制度・政策が、日本の緑地制度および緑地基本計画、緑化政策に示唆する点について予備的に考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度に予定していた2回の現地調査の内1回しか実施できなかった。 しかし、平成23年度に調査を行った東ロンドンのグリーングリッド計画と平成24年度に調査を行ったリバプールのグリーンインフラストラクチャー政策は、グリーンインフラストラクチャーの概念および計画手法において対照的かつ特徴的であり、本研究の目的を達成するうえで適当な事例を見つけることができた。この2事例の発見と分析によって、持続可能な地域の再生に資するグリーンスペース/グリーンインフラストラクチャー政策のあり方や計画手法・事業手法について、狭域のみならず広域のそれを対象とした分析が可能となり、研究成果の見通しが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は本研究の最終年度であり、当初の計画では海外調査の予定はなかったが、平成24年度に実施できなかった現地調査を実施する。具体的には、広域的なグリーンスペース計画(グリーンインフラストラクチャーの計画含む)の実施にかかる組織・体制づくりの事例として、グラスゴウ・クライドヴァレー・グリーンネットワークの現地調査を夏場に実施する。その後、調査結果の整理と研究全体のとりまとめを行い、成果の一部を学術論文として公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に消化できなかった海外調査旅費(繰り越し分)を執行する。また、研究成果を公表するために、論文投稿料・査読料として「その他」費目の研究費を執行する。物品費は、ウェブサイトで公開されている刊行物・行政資料等の印刷に係る消耗品費として、人件費・謝金は、資料整理・研究補助に係る謝金として、それぞれ執行する予定である。
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