研究課題/領域番号 |
23580036
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
児島 清秀 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70271161)
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キーワード | 西洋ナシ / インドール酢酸 / アブシジン酸 / ジャスモン酸 / サイトカイニン / ジベレリン / イソペンテニルアデニン / メチルジャスモン酸 |
研究概要 |
西洋ナシは収穫後の低温処理で追熟(ripening)を開始することが明らかになっている。この機構は、低温ストレスにより内生ホルモン(アブシジン酸、インドール酢酸・ジャスモン酸類)レベルが変動してエチレン生成の引き金になるとの仮説がある。この検証するために、低温処理・追熟中のこれらのホルモンを含む主要な植物ホルモンの経時的な消長を分析した。 追熟環境を模したインキュベーター内で貯蔵した。一定期間毎に採取して、外見、非破壊計測で物性・水分含量などの変化を記録して、液体窒素で凍結して、保存した。この保存した材料に関して、各種の可溶性の糖および有機酸は液体クロマトグラフ(HPLC)システムで含量を測定した。さらに内生植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)、インドール酢酸(IAA)、ジベレリン類(GAs)、サイトカイニン類(CKs)ジャスモン酸類(JAs)を定量した。その方法は、摩さい・抽出・精製後にHPLCシステムで分取して、現代の世界最高水準の信頼性をもつ安定同位体標識の内部標準と液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)システムを使用して分析した。湿度環境、内生植物ホルモンと追熟ステージの関係を解析した。 ABAは種子中で高濃度で、追熟開始日がピークであった。IAAも種子で高濃度で、追熟中に上昇した。JAも種子で高濃度で、追熟中に低下した。メチルジャスモン酸(MJA)も種子で高濃度で、追熟中に低下した。GA1も種子で高濃度で、追熟中に上昇した。GA4も種子で高濃度で、GA1よりも10倍程度高く、追熟中に低下した。イソペンテニルアデニン(iP)も種子で高濃度で、追熟中に上昇した。トランスゼアチン(Z)も種子で高濃度で、追熟中に上昇した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
西洋ナシで、計画していた主要な植物ホルモンの内生量を網羅的に定量したので、おおむね順調な進展である。
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今後の研究の推進方策 |
西洋なしには樹上で追熟しない現象がある。この原因として,樹体から果実への阻害物質(Tree factor、樹体要因)の移行説が40年以上前から仮定されている(Ethylene in Plant Biology, F.B. Abeles et al., 1992, Academic Press)。この阻害物質の正体は特に植物ホルモンの中でもジベレリンとの仮説を検証するために、樹体から果実へ移動する樹液中のホルモンを分析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を発展させる在外研究が、予告なく、新潟大学の公募として今年度より募集が始まった。そこでは、新たに55歳の年齢制限が設けられ、私の最後の機会となった。 そして、応募して採択され、時期は相手先との相談で、効果を上げるために秋の果実の収穫期の3ヶ月弱になった。 そこで、本科研費で計画していた秋の時期の西洋ナシの樹体からの樹液の採取などの実際に樹の様子を観察しながらの作業が実行できなくなった。 秋の時期の西洋ナシの樹体からの樹液の採取などの実際に樹の様子を観察しながら、西洋ナシの樹体からの樹液の採取などを行い、内生植物ホルモンの分析の使途。 そのための情報方法の収集のための旅費の使途。 私の不在のために分析が進まなかった植物サンプルの分析のための使途。
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