研究課題
我々は,mature greenステージで白色果実となり,その後赤く果実が着色する‘Micro-Tom’の突然変異体(gw: ghost white mutsnt)を発見した。このgw変異体の特徴と早期退緑がもたらす影響を調べるために, gw変異体と野生型果実のトランスクリプトームとプロテオームデータの比較解析を行った。光化学系IIの量子収率の測定結果では,開花後5日の果実と葉において野生型とgw変異体に差はないが,開花後25日の変異体果実では顕著な減少が観察された。また,gw変異体は果実での退緑が野生型に比べ早いが,種子数,発芽率,果実の大きさは野生型と同等であった. また,カロテノイド合成関連遺伝子とクロロフィル合成関連遺伝子の発現をRT-PCRにより野生型とgw変異体で比較したところ,変異体でChromoplast-specific lycopene beta-cyclase (CycB)とGlutamate 1-semialdehyde aminotransferase (GSA)のmRNA量の減少を確認した。そこで、我々はトマトオリゴDNAマイクロアレイを用いて,gw変異体の遺伝子発現について網羅的な解析を試みた。その結果,表現型の違いが顕著に現れているmature greenステージの方がredステージより発現変動のある遺伝子数が多い事が解った。また、果色が異なる成熟果実のプロテオームデータから,TIL (Temperature-Induced-Lipocalin) の蓄積量及びたんぱく質サイズが異なることを発見した。リポカリンたんぱく質がカロテノイド蓄積量やクロモプラスト分化に関与していると考え,リポカリンたんぱく質の細胞内局在及び発現について調べた.リポカリンたんぱく質の細胞内局在観察の結果,TIL1とTIL2が細胞基質と細胞膜に局在していることが観察され,CHLは葉緑体に局在することが観察された。さらに、TIL1は、果実の成熟するにつれて発現量が増え,TIL2は調べた各器官で恒常的に発現していることが分かった。
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