本研究では、甘果オウトウの花器官形成遺伝子を単離するとともに、異なる温度や品種間でこれらの遺伝子の発現量と多雌ずい形成、胚珠発育との関係を調べた。クラスB遺伝子としてPaTM6、PaPI遺伝子を、クラスC遺伝子としてPaAGとPaSHP遺伝子を、クラスD遺伝子としてPaSTK遺伝子を単離し、花の各部位での発現を確認した。温度処理や品種間比較において、各遺伝子の発現量の全てに一貫した傾向は得られなかったものの、高温による多雌ずい形成にはPaAGの増加が関与している可能性が高いことが示された。一方、ジベレリンによる胚珠の退化にはPaSTKの減少の関与が示唆された。
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