研究概要 |
沖縄での‘香大農R-1’は完全落葉することはなかったが、10月以降新梢成長が鈍化したり停止したりしたが、3月には新たに萌芽を開始した。新梢伸長が停止し、落葉しても木化していない状態の枝が見られたが、3月の萌芽の時は木化していない枝の腋芽も萌芽し、次年度の新梢成長は正常に行われた。沖縄での土壌は重粘土質のものが多いため、高畝などの排水対策が重要であった。香川で接ぎ木樹(4種類の台木)と自根樹の新梢成長を比較すると、自根樹は強勢台のものより新梢成長が旺盛であった。矮性台とされる‘リパリア・グロワール・ド・モンペリエ’に接ぎ木したものの新梢伸長はそれほど顕著に抑制されず、矮性効果は低いものと思われた。いずれも露地栽培では7月中旬以降に新梢伸長は鈍化し、やがて停止した。 果実品質に及ぼす葉数の影響を見るため、香川でベレーゾン期以降に異なる葉果比の条件とした結果、1果房につき1枚以下の着葉では果粒の萎縮、枯死が多発したが、2枚以上の着葉であれば、果実品質にはほとんど影響しなかった。香川での果実品質は自根樹の果実より接ぎ木樹のもので優れた。‘香大農R-1'の腋芽を経時的に顕微鏡観察したところ、6月上旬に花芽分化を開始し、8月に小穂が形成されていた。 リュウキュウガネブの茎頂培養では、雌株では容易であったが、雄株はオーキシンに2,4-Dを用いて、植え付け後1ヶ月間暗黒条件にした液体培地(活性炭添加)条件でなければ茎頂の生育は見られなかった。初代培地で展葉が見られた個体を同様の条件の液体培地に植え換えてもさらなる成長は見られず、2,4-D添加寒天培地に継代すると褐変枯死し、伸長しなかった。 リュウキュウガネブの形質を四倍体品種に導入するために、培養雌個体の試験管内倍加処理を行ったが、コルヒチン処理による倍加は困難であった。
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