研究課題/領域番号 |
23580055
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
藤井 浩 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所カンキツ研究領域, 主任研究員 (00355398)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | カンキツ / カロテノイド / 遺伝子 / ゲノム |
研究概要 |
我が国の育成品種のほとんどは,14の祖先品種およびその後代との交配から育成されている。したがって,我が国のほとんどの育成品種は,14祖先品種に由来する28アレルのいずれかの遺伝子を保有している。そこで,カロテノイド代謝系に関わるすべての遺伝子群について,28アレルすべての塩基配列を取得することを目的とする。 具体的には,対象遺伝子領域のゲノム塩基配列を濃縮し,濃縮したゲノム塩基配列を解読することにした。まず,カンキツ全ゲノム情報として公開されているクレメンティンの配列から,対象とするカロテノイド代謝系のすべての遺伝子とその制御に関連すると予想される転写因子様遺伝子群の上流域も含めたゲノム配列を取得し,ゲノム濃縮のためのプローブを設計した。次に,祖先14品種のゲノムDNAを抽出した。 設計したプローブと祖先14品種のゲノムDNAから,SureSelect法を用いて,祖先14品種の対象ゲノム領域を品種ごとにタグをつけて濃縮し,次世代シーケンサーにより,それらの塩基配列を解読した。解読した配列(リード)は100bp程度と短いので,品種ごとに配列アセンブルを行って,祖先14品種それぞれの元のゲノム配列。 現在,これらのアセンブル結果について,品種ごとおよびアレルごとの配列に,バイオインフォマティクス技術を用いて整理を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では,(1)ゲノムの濃縮を行うためのプローブを設計する,(2)14祖先品種のゲノムDNAを抽出する, (3)対象遺伝子領域のゲノム断片をSureSelect法により濃縮する, (4)濃縮したゲノム断片の塩基配列を次世代シーケンサーで解読する,(5)解読した断片を対象遺伝子領域ごと,品種ごとに配列アセンブルを行う,(6)祖先14品種の対象遺伝子領域の塩基配列をアレルごとに決定する,としていた。このうち,(1)-(5)については完了し,(6)については進行中であることから,研究目的の達成度については,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
祖先14品種の対象遺伝子領域のアレルごとの配列をバイオインフォマティクスの手法を用いて決定する。次に,決定した祖先14品種のアレルごとの塩基配列に基づき,それぞれのアレルタイプを決定可能なSNPを含む領域を探索し,カンキツ57品種・系統について,その領域のダイレクトシーケンスを行い,どの祖先品種のアレルと一致する調査し,アレルタイプを決定する。これをカロテノイド代謝酵素遺伝子ごとに行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
カンキツ57品種・系統のアレルタイプを決定するために該当する領域にしぼった配列決定を行う必要がある。配列決定を行う方法として,サンガー法によるダイレクトシーケンスを行う予定である。このため,ダイレクトシーケンスを実施するための研究費が必要である。
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