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2012 年度 実施状況報告書

植物の病害抵抗性を制御する新規MAPKカスケードの確立と防除技術への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23580060
研究機関金沢大学

研究代表者

西内 巧  金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (20334790)

キーワードMAPK / タンパク質リン酸化 / 病害抵抗性 / 植物病原糸状菌 / カビ毒 / トリコテセン / リン酸化プロテオーム
研究概要

赤かび病菌に対する植物の抵抗性に関わる新規のシグナル伝達因子として、MAPKカスケードの最上流に位置するMAPKKKであるシロイヌナズナのMKD1を見出した。本研究は、MKD1カスケードにおけるMAPKKやMAPK、標的リン酸化タンパク質の機能を明らかにし、病原糸状菌の抵抗性に関わる植物の新たなシグナル伝達経路を確立することを目的とする。前年度までの解析結果から、MKD1(MAPKKK)→MKK1/5(MAPKK)→MPK3/6(MAPK)というMKD1カスケードが病原性糸状菌である赤かび病菌及び病原性バクテリアであるPstDC3000に対する抵抗性を正に制御することを明らかにした。
今年度は、MKD1カスケードの標的タンパク質を探索するため、リン酸化プロテオーム解析を行なった。その結果、Rタンパク質やタンパク質の安定性を制御するSUMO等が標的タンパク質として同定された。
また、BiFC法により、MKK1/5(MAPKK)とMPK3/6(MAPK)が細胞内で相互作用することを確認した。
一方、MKD1と同じRafキナーゼに属するMAPKKKであるEDR1についても解析を行なったところ、mkd1edr1二重変異体は、非ストレス時にも孔辺細胞を中心とした細胞死が見られ、PstDC3000に対して強い抵抗性を示すことが分かった。今後は、Rafキナーゼ間のクロストークについても解析を進めたい。
。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究計画で予定していた2つの主要な実験について、実験を全て完了しており、目的を達成していることから、現在までの達成度は、おおむね順調に進展していると判断した。具体的な進展状況を次にあげる。
1.蛍光タンパク質再構築(BiFC)法によるMKD1カスケードのMAPKKとMAPK間の細胞内相互作用解析:必要な形質転換体を全て作製し、さらに交配した株について、蛍光観察を行い、MAPKKであるMKK1とMKK5が、MAPKであるMPK3とMPK6のそれぞれと、細胞質において相互作用することを明らかにした。
2.リン酸化プロテオーム解析:MKD1の標的タンパク質を同定するため、野生株とmkd1変異体に赤かび病菌が産生するトリコテセン系カビ毒を処理し、リン酸化タンパク質を精製し、iTRAQを用いた定量プロテオミクス解析を行なった。Rタンパク質やSUMO等の標的の候補タンパク質を多数同定した。
加えて、.他のRafキナーゼとのクロストークについての解析を行なったところ、EDR1との二重変異体において興味深い表現型を示すことを明らかにした。

今後の研究の推進方策

H25年度は、研究計画の通りに下記の主要な2つの実験を進めていきたい。
「MKD1カスケードの標的タンパク質の機能解析とリン酸化部位の同定」
「他のRafキナーゼとのクロストークについての解析」

次年度の研究費の使用計画

本研究計画は、順調に進展しており、
予定された研究費の使用計画に基づいて、予算執行を行いたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] A promoter of Fusarium graminearum Tri4 does not function when placed at the end of the trichothecene gene cluster.2013

    • 著者名/発表者名
      Tokai, T., Nakajima, Y., Ishikawa, H., Maeda, K., Nishiuchi, T., Kobayashi, T., and Kimura, M.
    • 雑誌名

      Mycotoxins

      巻: 63 ページ: 17-25

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The defense response in Arabidopsis thaliana against Fusarium sporotrichioides.2012

    • 著者名/発表者名
      Asano, T., Kimura, M., and Nishiuchi T.
    • 雑誌名

      Proteome Science

      巻: 10 ページ: 61

    • DOI

      10.1186/1477-5956-10-61.

    • 査読あり
  • [学会発表] シロイヌナズナの抗菌性タンパク質Thi2.4は、赤かび病菌のレクチン様タンパク質FFBLと相互作用する2013

    • 著者名/発表者名
      浅野智哉、三輪晃敬、西内巧
    • 学会等名
      日本植物病理学会
    • 発表場所
      岐阜大学
    • 年月日
      20130327-20130329
  • [学会発表] シロイヌナズナのMAPKKKであるMKD1とEDR1は植物の細胞死を制御する2013

    • 著者名/発表者名
      浅野智哉、西内巧
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 発表場所
      岡山大学
    • 年月日
      20130321-20130323
  • [図書] Fusarium: genomics, molecular and cellular biology.2013

    • 著者名/発表者名
      Nishiuchi, T.
    • 総ページ数
      15
    • 出版者
      Plant responses to Fusarium metabolite
  • [産業財産権] かび毒蓄積抑制方法およびかび毒蓄積抑制剤2012

    • 発明者名
      竪石秀明、西内巧
    • 権利者名
      クレハ
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2012/055225
    • 出願年月日
      2012-09-13
    • 外国

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公開日: 2014-07-24  

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