タマネギ乾腐病菌 (FOC)は、宿主植物の根に含まれる抗菌成分に遭遇すると、培養細胞に壊死を引き起こすタンパク質(NIP8およびNIP8-S)を分泌する。本研究は、FOCの病原性におけるこれらのタンパク質の役割を明らかにすることを目的とした。研究の結果、NIP8はハイドロフォビンの部分断片産物であることが判明したが、病原性との関連性はみとめられなかった。一方、NIP8-Sは、ジスルフィド結合を3か所持つ塩基性タンパク質(pI 9.4)で、組換え大腸菌で生産したNIP8-Sは宿主植物に萎ちょうを引きおこした。このことから、NIP8-SはFOCの病徴発現に関与するタンパク質と考えられた。
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