研究課題/領域番号 |
23580070
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
石田 裕幸 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (90509861)
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研究分担者 |
宮澤 光博 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (90370684)
山崎 俊正 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (40360458)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | クロオオアリ / Niemann-Pick Type C-2 / 塩基配列決定 / 組換えタンパク質 / 大量精製 |
研究概要 |
ヒトのコレステロール結合タンパク質と相同性の高いクロオオアリNiemann-Pick Type C-2 (CjapNPC2)は、ワーカー触角特異的に発現するため、何らかの疎水性情報伝達物質を運搬し、アリ特有の素仲間認識における情報伝達システムに深く関与していると予想される。CjapNPC2の機能解析をするため、平成23年度では、CjapNPC2 cDNAの全長塩基配列を決定、組換えCjapNPC2発現ベクターの構築、大腸菌による組換えCjapNPC2の大量発現系と精製法の確立を試みた。 CjapNPC2 cDNAの全長塩基配列は決定出来た。その結果を基盤に組換えCjapNPC2発現ベクターの構築した。 天然物CjapNPC2の同定も該当年度計画に盛り込んでいた。しかしNative PAGEで下方に分離されたタンパク質群をアミノ酸シークエンスしたが、成熟CjapNPC2の同定は出来なかった。ヒトNPC2はベーター構造であるため、CjapNPC2もアルファへリックス構造の匂い物質結合タンパク質とは異なる性状を保持し、そのための結果と考えられた。 組換えCjapNPC2の大腸菌による大量発現系は確立出来た。組換えCjapNPC2は、匂い物質結合タンパク質のようイオン交換クロマトグラフィーとゲル濾過の組み合わせでは精製出来ず、様々な試みの結果、疎水性相互作用クロマトグラフィーを更に組み合わせることで精製出来ることが明らかとなり、現在、最良の条件を探索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね申請時の計画通り進行している。組換えCjapNPC2も大量精製方法も確立しつつあり、今後のCjapNPC2の性状構造解析は順調に進むと期待している。
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今後の研究の推進方策 |
天然品のCjapNPC2の同定はWestern blotting法に切り替え、探査する。また組換えCjapNPC2は大量に調整出来つつあるため、平成24年度以降の計画である組換えCjapNPC2と推定リガンドとの結合能測定法の確立と測定、円偏光二色性法を用いた高次構造および構造変化の解析、立体構造解析に向けた組換えCjapNPC2の結晶化条件の検討に入る。
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次年度の研究費の使用計画 |
組換えCjapNPC2の大量発現精製方法が確立しつつある。そのため余剰の研究費をWestern blottingに必要な抗体作製に物品費を使用する。組換えCjapNPC2と推定リガンドとの結合能測定法の確立と測定、円偏光二色性法を用いた高次構造および構造変化の解析、立体構造解析に向けた組換えCjapNPC2の結晶化条件の検討は計画通りに物品費を使用する。また本年度に得られた結果は日本蚕糸学会の全国大会で発表し、同時にディスカッションも進める。そのために旅費を使用する。
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